組織変革やツール導入で失敗する企業の特徴
20代が変化に柔軟なのは若いからではない

PwCコンサルティング パートナー 佐々木亮輔 氏
グローバルで情報共有の効率化やコラボレーションの重要性が認識される中で、日本企業でもビジネスチャットツールやコラボレーションツールを導入するケースが増えてきた。企業の先進的な取り組みや専門家へのインタビューを基に、「組織改革を推進・加速させるためにはどうすればよいのか」をひもといていく本連載(全6回)。第3回となる今回は、こうしたツールの必要性や導入の際に気をつけるべきポイントについて、組織変革コンサルティングに精通する「チェンジマネジメント」の専門家に話を聞いた。
日本企業が組織変革に対して大きな危機感を抱いている――。
国連機関や外資系人事コンサルティングファームなどを経て、PwCコンサルティングで組織変革に精通するチェンジマネジメントの専門家として活躍する佐々木亮輔氏は、次のように語る。
「私たちの行ったサーベイでは、回答いただいた日本企業の96%が、『組織文化を変えなければいけない』という危機感を持っています」

出所:PwC Strategy& グローバル組織文化調査(2018)
この96%の企業からは、同時に「アジリティー」や「イノベーション」というキーワードが挙がってきたという。変化に強い組織づくりの重要性を認識していると推察されるが、日本ではなかなか進まないのが実情だ。
日本企業の得意分野が組織文化変革の足かせに
「日本企業は従来、かっちりとプランを組んでPDCAを回していくことを得意としてきました。当然、組織もヒエラルキーが明確なピラミッド型となります。一方で、イノベーティブな試みというのは、いわばタスクフォース型でフラットなプロジェクトベースで展開されます。そこにピラミッド型の組織体系やガバナンスで対応しようとしても、うまくいくはずがありません」
イノベーティブな試みをしようと新たなプロジェクトチームを組織横断で発足させたとしても、日本企業の場合「兼務」で行わせることが多い。評価形態が旧態依然で、KPIが本業にひも付く状況では、どうしても新たな試みに力を入れられず中途半端な結果で終わってしまう。
そこで、注目されているのがコラボレーションツールだ。タスクやプロジェクトベースになった際、その単位でグループをつくることができる。