組織変革やツール導入で失敗する企業の特徴 20代が変化に柔軟なのは若いからではない
「アジャイル対応やイノベーションを起こすとなると、これまでにはないチャネルを使って情報を取っていかなければなりません。BtoCで言えば、カスタマーセントリックになりますので、それこそチャネルや関係者、そして情報量が爆発的に増えます。コラボレーションツールではチャットなどが入り、やり取りがスピーディーかつ反応が見やすくビルドアップしやすい。メールですとどうしてもアクションが単発になり追いきれなくなります」
ただし、コラボレーションツールの導入がまた難しい。単にトップダウンで入れただけでは現場で定着化しない。なぜなら、「人間は本質として、現状を維持したいもの」(佐々木氏)であるからだ。こうした場合、必ず存在する保守派の反発も含め、組織全体で効率よく変革が進められる手法「チェンジマネジメント」が必要となってくる。まず、なぜツールを導入するのか、その共通認識を社内全員で持てなければ始まらないということだ。
「海外と日本を比較したときに、新たなコラボレーションツールを受け入れられるかどうかは、『ミレニアル世代』をどう捉えているかが如実に出ている気がします」
組織変革やツール導入に成功する企業の特徴
世界の労働人口の半分以上がミレニアル世代。グローバルでは、ミレニアル世代がどの程度企業に貢献できて、どういう環境ならさらに力を発揮できるかを考えている。しかも、現在は情報過多の時代。デジタルネイティブが、1日に数百件届くメールをソートする非効率な環境では働けないことを知っているため、企業側としてもコラボレーションツールを入れて効率化を図るということが進んでいるわけだ。
「日本では政府の動きを見ても、高齢者の再雇用などの施策が多い。もちろん、課題先進国としてアクティブシニアへの施策は重要ですが、ミレニアル世代に対する認識も持つべきです。実際、組織変革やツール導入などでも、若手人材をプロジェクトチームのハブにできた企業は成功しています。
単に若ければよいという話ではありませんが、年金が当てにできないことや、AIの台頭できちんとしたスキル形成をしていかなければキャリア形成ができないことなどから、20代の若手のほうが危機感を持っていて、変化に柔軟であろうとしています」