経済活動の発展に寄与する
「下請債権 保全支援事業」が果たす役割とは
福島 下請企業や建設資材企業のリスクヘッジを国が支援する制度というわけですね。その背景にはどういう考え方がありますか。
江口 このようなリスクヘッジをする場合には、下請企業等が保証料を負担するのが原則だと考えております。しかし、建設企業の約99%が中小企業という状況下で、これらの企業向けの支払保証のマーケットが十分な形で形成されているとは言いがたく、保証料も高い水準にあります。そこで、この制度では国が保証料を3分の2まで助成いたします。
また、公共工事に限らず、民間工事でもご利用いただくことができます。なお、元請・1次下請間だけでなく、1次下請・2次下請間など、下請契約においてご利用いただくことができます。
福島 ということは、下請企業は3分の1の保証料を支払えば、万一、元請企業が倒産するようなことが起きても、債権回収のリスクをヘッジできるということですね。平成22年にこうした制度ができたそうですが、どれくらいの企業が利用しているのですか。
江口 この制度創設時から平成25年末までに、延べ1万8000社以上にご利用いただいており、保証総額は2200億円を超えております。
下請企業の安定した事業運営を支援
福島 向井会長も、実際にこの制度を活用されているそうですね。
向井 はい。これまでもファクタリングなどのサービスはありましたが、一般的に浸透しているとは言いがたく、したがって保証料の負担が大きいのがネックでした。「下請債権保全支援事業」により、国から助成があるのは、ありがたいですね。
また、この制度は工事保証なので、不安に思う工事だけを選んで必要期間のみ保証をつけられるのもたいへん便利です。期間の長い工事も安心して受注できます。さらに、元請企業に保証の事実を知られずに済む「ブラインド性」があり、元請企業との関係を気にせず、安心して利用できます。回収リスクをコントロールすることにより、今後の新規開拓にも活用していきたいと考えています。
福島 この制度を利用することで、下請企業も「攻め」の経営ができそうです。実際に申し込むにはどうすればいいのでしょうか。
江口 現在、10社のファクタリング会社でお取り扱いをしていただいております。なお、この事業の実施主体は一般財団法人建設業振興基金であり、詳細につきましてはホームページをご覧ください。
SMBCファイナンスサービス株式会社
オリックス株式会社
北保証サービス株式会社
株式会社建設経営サービス
株式会社建設総合サービス
昭和リース株式会社
東京センチュリーリース株式会社
みずほファクター株式会社
三菱UFJファクター株式会社
りそな決済サービス株式会社
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