経済活動の発展に寄与する
「下請債権 保全支援事業」が果たす役割とは
福島 建設投資が増えると、建設企業にとっても業績を伸ばしていける大きなチャンスになりますね。また、そうした社会のニーズに応え、施工を確実にこなしていくためにも、企業の体制を整えていく必要があると思います。向井会長はどうお考えでしょうか。
向井 これから受注はさらに伸びていくと考えています。最近の事象として、これまで取引がまったくなかった元請企業から、人手が足らない、あるいは機械が不足しているといったこともあって、いろいろな引き合いが増えています。
ただ、新規の取引先の仕事をするには、取引条件や工事代金の回収なども心配です。すぐに飛びつくわけにもいきません。元請企業が経営破綻し、下請企業が連鎖倒産をするといった例もあります。新しい得意先との取引には慎重にならざるをえません。
下請建設企業を取り巻く環境に配慮した
「下請債権保全支援事業」
福島 新規の元請企業の場合、工事請負代金や資材代金などの回収も不安ですね。そのような声に応える制度があると聞きました。どのような内容ですか。
江口 下請企業を取り巻く環境に配慮して、平成22年3月に国土交通省は「下請債権保全支援事業」を創設いたしました。この制度の目的は、下請企業または建設資材企業の経営と雇用の安定、連鎖倒産防止などを図り、わが国の建設市場の適切な整備推進につなげることにあります。
元請企業が万一に倒産してしまった場合、下請企業や建設資材企業には、経営上大きな影響が及びます。そこで、それを回避するために、工事請負代金債権等に、あらかじめ一定の保証をつけておき、不測の事態においても代金回収の保全を図る制度です。