出社後すぐにやりがちな「無駄」な作業とは? マイクロソフトの生産性向上を支えたもの
例えば、ビデオ通話では、自宅やカフェから参加する人に配慮し、自動で背景をぼかす機能がある。そのうえ、音声を自動的に文字に変換して字幕表示することもできる。現在のところ対応しているのは英語と中国語だが、英語のビデオ会議でヒアリングが心配な人にとっては、文字情報が表示されるだけでも心強いだろう。もちろん近い将来、日本語にも対応するという。さらにこの字幕機能は、自動翻訳も予定されているそうだ。
つまり、言語の壁を気にすることなくグローバルなコラボレーションが簡単に実現できるということだ。実際、同社では、グローバルな共通情報についても、ビデオ通話会議を開き、動画を配信するだけで徹底できるという。言葉の壁も時差も気にする必要がない。
春日井氏と同じ部署でプロダクトマーケティングマネージャーを務める平井亜咲美氏は、次のように語る。
「AIを活用できるのも、マイクロソフトが『Windows』や『Office 365』、『Cortana』などから集約するビッグデータを持っているからです。すでに『Excel』は、インテリジェント機能でデータ分析の傾向をアドバイスし、『Word』では、次に使用する機能をお勧めするコンシェルジュ的な機能も増えてきました。今後、『Teams』でもこの傾向は続くでしょう」
「03」から始まる固定電話番号も利用可能に
日本の商習慣への対応にも余念がない。国内では、信用性の観点からまだまだ固定電話番号が重視されている。そのため、ソフトバンクとのパートナーシップにより、「Teams」ユーザーに「03」や「06」などの市外局番から始まる固定電話番号を割り当てる「UniTalk(ユニトーク)」の提供を開始した。名刺や階層型アドレス帳のような日本固有のビジネス文化も「Teams」で利用できるように、事業者との連携を進めているという。
「『Teams』は、チームワークを実現するハブです。連携するクラウドサービスやアプリは多く、とりわけ海外製品が多いのですが、今後、日本のツールとの連携にもスピード感を持って対応していきたいと考えています」(平井氏)
「日本企業で、IT環境はコストセンターとして考えられてきましたが、『Teams』は単なるツールではなく、プラットフォームであり、ハブであり、次世代のOSとなるはずです。文房具の延長線上に考えるものではなく、ビジネスを根底から変えるソリューションとして捉えていただきたいですね」(春日井氏)
かくいう同社も、初めから『Teams』をスムーズに運用できたわけではない。IT活用に抵抗の少ないミレニアル世代が経営層に手ほどきをする「リバースメンターシップ」を導入するなど、数々の取り組みを実施。こうした経験を踏まえ、導入企業の環境に最適化させて使用するためのサポートを行っている。
次回は、マイクロソフトが導入企業をどのようにサポートしているのか、そのカギを握る「CSU(カスタマーサクセスユニット)」の活動について深掘りする。