スマートシティは電力システム、成長戦略の要

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キャッシュを生む電力
スマート化の仕組み

―― 私たちの家や街で、スマートシティ/ハウスは、実際にどのように実現されるのでしょうか。

柏木 スマート化で大切なのはキャッシュを生み出せるようにすることです。太陽光発電、燃料電池、コージェネレーション(熱電併給)等の発電設備、家庭の電力消費をコントロールするHEMS(ホームエネルギー管理システム)やスマート家電の導入に投資してもらうには、スマートハウスにすることで、孫の小遣いくらいは稼げるようにならなければなりません。

今も太陽光発電の余剰電力は固定価格買取制度で買い取ってもらえますが、家庭部門の電力が自由化されれば、コージェネを含めて家庭から出るすべての電力を市場で売買できるようになります。20年代早期には消費電力をリモート把握できるスマートメーターも導入されます。電力需給がひっぱくしたときはHEMSで売却する電力を最大化して、各戸の電力を束ねるアグリゲータ事業者を通じて価値を高めた売電。供給側が電気料金を高く設定して需要を抑えるデマンドレスポンス。コミュニティ内に敷かれた電線を介して余剰電力を融通し合う……といったスマートシティ/コミュニティの仕組みが整っていくでしょう。

―― 電力を消費するだけだった住宅が供給・調整機能を持つ時代が来るのですね。

柏木 現在の電力システムは96%を巨大な火力・原子力発電所などの大規模集中型電源に依存しています。その結果、発電設備が過剰になり、稼働率は56%と非効率的でコストも割高になっています。私の予想では、将来的に大規模集中型電源の割合は70%程度に下がります。各電力会社が管内で行ってきた系統運用は、広域運用系統機構が担い、発電所の効率性データを基に、国内の全発電所から、どこを稼働させるかを判断できるようにして効率を上げます。残り30%は太陽光や風力、コージェネなどの地域分散型電源でまかないます。スマートシティ/ハウスの仕組みで電力需給を平準化することで、エネルギーシステム全体の効率はさらに高めることができます。

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