「保身は得意」と悪評、逆風の平井ソニー 止まらない業績悪化に社員やOBからも不満噴出
衰えた商品開発力
「今の経営陣は新しい商品を作った経験がなく、仕事を与えられてきた人ばかり。立ち回るのがうまい保身の得意な連中が出世している。そんな連中にソニーを立て直せというほうが無理」
通信関連のエンジニアだったOBはあきらめ顔でこう話す。かつてのソニーの経営陣には、創業者の井深大氏、盛田昭夫氏のほかにも、ビデオテープレコーダーの国産第一号を開発した木原信敏元専務やウォークマンを開発した大曽根幸三元副社長など、時代を彩った商品を生み出した人たちが経営の中枢にいた。
ただ近年は、ゲーム機「プレイステーション」を開発した久夛良木健元副社長を最後に、顔を見れば作った商品が浮かぶ役員がいないという。「事業部長クラスにも新しい商品を開発した経験がない人が多く、根が深い問題だ」。
元役員は急速に進む開発力の衰えを指摘する。「技術に対する投資をせず、外から買ってくればいいと言うようになった。だが、モノを作ったことがない人間に技術を選定する能力があるわけがない。00年ごろから将来厳しくなるとわかっていたが、止められなかった。もはや立ち直る体力はないのかもしれない。われわれにも責任はあるので反省している」。
開発の現場には、平井氏に好意的な声があるのも確かだ。「今までのトップと違って、現場に足を運んで話を聞く。自分のやっていることを、きちんと評価してくれるのはうれしい」「中鉢(良治)社長は新しいプロジェクトをすべて否定していたが、平井社長はそうではない」と現役のエンジニアは話す。
平井氏は開発前の情報共有や商品の仕上げにこだわり、積極的に注文も出す。研究開発拠点の厚木テクノロジーセンターにも頻繁に訪れる。実際にカメラなどでは高い仕上がりの製品が生まれている。
「手応えは感じている。奇策はないので、やるべきことを一つずつやっていく」と平井社長は繰り返し語っている。その成果は来期には表れるだろうか。
(週刊東洋経済2014年2月22日号〈2月17日発売〉では核心リポート01として8ページにわたるソニー緊急特集を掲載。全編は週刊東洋経済をご覧下さい)
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