大黒屋「中古品買取だけじゃない」大望とは? 質屋だからこそできる、壮大な挑戦が始まる

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質屋だからこそ可能に。家をまるごと買い取る

大黒屋ホールディングスが今、新たな事業への挑戦を準備し始めている。小川氏がその新規事業の全貌を明かしてくれた。

「70歳前後の団塊の世代などの高齢者は、金融資産はさておき、モノをたくさん持っています。住宅も持っています。そうした方たちが、より人生を楽しむため、あるいは現金が不足したときにはどうするのか。使わなくなったモノを換金するしかありません。それこそが、質屋が得意とするところです」

「また、今はまだまだ元気でも、先々、体が弱ってきて介護施設に入る、あるいは相続に備えるといったことを目的に、家を整理することを考えていく時期でもあります。体力が衰えてからではモノの整理はなかなかできませんが、そのようなときも当社の出番です。モノの整理をお手伝いして、適正な値付けをして処分することもできますし、自宅を売買して現金を手元に残しつつ、そのまま住み続けるということまでお手伝いすることも可能です」

「そのようなことができるのは、適正な価格で買い取り、適正な価格で売ることをなりわいとしている質屋業の強みです。当社はもともと50代以上の女性、F3層を主要なお客様にしていますから、その層への認知度も高く、絶大な信頼をいただいていると思っています。そうした意味でこれは当社にしかできないビジネスですし、ニーズは確実にあります。超高齢化社会を迎える日本においての社会的意義に照らし合わせても価値のあるビジネスです」

同社はこの新規事業を1つの軸に、国内事業の再強化を図り、成長軌道をもう一段階アップさせたい考えだ。

集められたブランド中古品は、鑑定士とAIによる鑑定で即座に値付けされ、販売に回る。希少な商品が入ることも少なくないという

積極的な海外展開で巨大マーケット中国に進出

その一方で同社はグローバル化にも積極的に取り組んでいる。

最初に進出したのは英国だった。2015年10月、英国で個人向け質金融事業を展開するスピードローン・ファイナンス・リミテッドを中心とするSFLグループを買収し、「ハーバート・ブラウン」と「アルべマール&ボンド」という2つのブランドを買収。

続けて、アジアの巨大市場である中国への進出も果たした。中国最大の企業集団であるCITICと提携し、同グループの連結子会社のCXB(※3)と折半出資の合弁会社を設立。ブランド中古品の買い取り・販売を行う「信黒屋」のブランドで、北京の旗艦店を皮切りに、瀋陽、上海、青島と立て続けに出店したのだった。

同社は以前から「ブランド品リユース事業で世界ナンバーワンに」という壮大な目標を掲げていた。その目標達成に向け、巨大市場中国にも橋頭堡を築き、文字どおりグローバル規模のオムニチャネルを構築しつつあるのだ。

※3 CITIC XINBANG ASSET MANAGEMENT CORPORATION LTD.

ブランド中古品が整然と並べられた「信黒屋」の店内
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