5Gが後押し、ライブ配信アプリの可能性 今や利用者は「若い女性」だけではない

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17 Media Japan
代表取締役社長
小野 裕史 氏

同社は、そのような人々の活動をサポートしていくことが、今後の日本のエンターテインメントを支える人材を増やしていくと捉えており、今後も「17 Live」を通じて、よりライバーが活躍できるように、さらにサポートをしていきたいと息巻いた。

すでに台湾では、ライブ配信アプリは一般的に利用されているだけでなく、ライバーという職種も、市民権を得ている。特筆すべき事例として、「17 Live」で名を挙げたアーティストが有名飲料メーカーのCMや大手映画会社制作の映画に出演する、あるいはテレビで起用されるという事例も多く生まれている。日本でも今後そうした事例が多く見られるようになるだろう。ダンスやトーク配信などで人気を集めるイチナナライバーの「岩えもん」という女性も、大手スポーツメーカーのCMに出演し、タレントになるという自身の夢に向かって突き進んでいるうちの1人だ。

「ライバーと視聴者がリアルタイムでやりとりするインタラクティブ(=双方向性)なメディアだからこそ、才能の成長が圧倒的に早いと言えます。例えば、ある70代の女性ライバー『せんちゃん』は、40代まで家事と仕事を両立していましたが、職場の人間関係に悩み、家にこもりがちになってしまったんです。そんな『せんちゃん』の様子を家族が心配し、『17 Live』を勧めて下さったようです。ライバーとして視聴者から人生相談を受けるなど、幅広い層と交流するようになり、とても充実した日々を送るようになりました。配信を始めた当初は、スマホに慣れず、ライブ配信にも不安を抱いていた『せんちゃん』でしたが、視聴者と対話を重ねていくごとに、笑顔を取り戻すようになったのです。

また、北海道のシンガーソングライター『内田もあ』さんも、過去に一度諦めた夢を、もう一度追いかける原動力にして下さったと聞いています。小さい時から歌手になりたかった『内田もあ』さんは、17歳のときに色々なオーディションを受けている中で、周囲のレベルの高さに『自分には才能がないのでは』と、一度音楽の道を諦め、会社員として就職しました。しかしその後、父親が彼女に『17 Live』を勧めたことがきっかけとなり、ライブ配信をスタート。配信を毎日続けたことで、応援してくれる人が地元北海道だけではなく、全国に拡がっていき、各所でワンマンライブを開催するまでに至ったんです。そうした収益以外の価値が生まれる事例もたくさん目にしています」(小野氏)

70代の女性から「ゆるキャラ」まで、ライバーたちは多様性に富んでいる

下積みを何年も重ねて、やっと数秒間テレビ画面に映るという時代からすると、スマホ一つですぐに自分主演のライブ番組を始められる「17 Live」の登場は、自己表現するチャレンジの裾野を大幅に拡げたと言えるのではないだろうか。また、こういった既存の業界構造や商流では流通しなかったコンテンツや才能が、顕在化することで、新たなビジネスチャンスにつながる可能性も大いに秘めているだろう。

数年後、「17 Live」がインフラになっている可能性も

「高い技術力」も、「17 Live」の大きな強みだ。ライブ配信ではリアルタイムでインタラクティブなやりとりをするだけに、通信の遅延は決定的なマイナスとなる。その点、「17 Live」は本国台湾に100名以上の優秀なエンジニアを抱え、遅延が少ない高水準のライブ配信を実現している。さらに、コンテンツのクオリティチェックも徹底しており、映像、音声、テキストのすべてに、AIと人の双方による24時間365日のモニタリングが行われ、「17 Live」にそぐわない内容を規制している。規制の対象となるのは、過度な肌露出、飲酒・喫煙、他者の誹謗中傷などが見られるコンテンツだ。

健全なコンテンツを保つためリアルタイムで厳重な監視がされている

「正直、短期的な収益を求めるのであれば、規制を緩めるのが得策です。でも『17 Live』には子どもを含め、あらゆる世代が参加しています。また今後、このカルチャーを大きく育てたいとも考えています。だからこそ、今は多少厳しくしすぎてでも、メディアとしての信頼性や健全性を担保することに注力しているんです」(小野氏)

近い将来5Gが普及すれば、ライブ配信の遅延はさらに減少し、映像解像度や音質のレベルは今より飛躍的に上がる。それにより、現実のライブに参加するのと極めて近い体験が、ライブ配信で可能になるだろう。小野氏も「4G時代はウォーミングアップ。5G以降が本格的なライブ配信の始まり」と位置づける。

5Gによる本格的なライブ配信が普及したとき、ライバーが現在のユーチューバーのように「憧れの職業」になる日もそう遠くないのかもしれない。