ビジネスの場で「あえてデニムをはく男」の野望 期待を裏切ることで、「自由な思考」が生まれる
「柔らかいですね。ジーンズは時間をかけてはきこなしていくものだというイメージを持っていたのですが、最初からこんなにソフトなはき心地だとは驚きました。しかも太ももはゆったりめで、足首にかけてスリムになっていて、シルエットも美しい。仕事でもアリですね」
建築家の豊田啓介氏はリーバイス®の502™テーパードジーンズをはいた印象をこう語る。そもそも建築家というと、ファッションが一つの自己イメージを演出する武器になるともいわれる。豊田氏の場合はどうなのだろうか。
「打ち合わせには、あえてラフな格好で行く」
「ベースボールキャップをかぶって、ジーンズにビーチサンダルで打ち合わせに行くことも多いですよ。それは、これまでのステレオタイプな建築家というイメージに囚われたくないという感覚がどこかにあるからです。この人はこちらの価値観とは、何か違うんだなということを肌感覚で知ってほしい。最初は、『え?』と思われても、そのうち『仕方ないんだな』と諦めてくれる(笑)。これは純粋に自分にとって心地いいスタイルでもあり、同時にある程度計算している部分もあります。意識的に旧来の価値観に縛られないようにしてもらうんです、相手にも。そこから価値観にとらわれない新しい発想の提案をすると、向こうも受け入れやすい態勢ができていたりする。名刺代わりにラフな格好をすることでそのような効果もあるんですね」
今、コンピューテーショナルデザインという新たなコンセプトで日本の建築界に新風を吹き込んでいる豊田氏。コンピューテーショナルデザインとは、通常の建築の枠を超えて、デザインと施工、あるいはモノをつくる、使うといった機能を最新のデジタル技術で再構築しながら、新たな可能性にトライしていく最先端の領域だ。