進次郎と滝クリ「令和婚」に込められた深謀 目立つ進次郎流「メディア戦略」のしたたかさ

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「政治家ではなく人間・小泉進次郎をどう生きるか」が口癖の小泉氏だが、今回の結婚で「進次郎劇場の第2幕が開幕した」(自民長老)とみる向きも多い。年明けに子供が生まれれば、「夫で父親」となる。その時点で、第1幕で演じてきた天才子役を卒業し、本物の大人の政治家として第2幕でニュー進次郎を演じることになるからだ。

安倍首相は9月中旬の党役員・内閣改造人事で安倍新体制を発足させる。当然、新人事では小泉氏の処遇が注目の的となる。すでに、「小泉厚生労働大臣」なども取り沙汰されているが、今回の結婚と、夫人の出産予定などを考慮すると、「現在の厚生労働部会長の続投が自然」(自民幹部)との声が強まりそうだ。「静かに出産を見守り夫人をサポートする」という小泉氏を閣僚に抜擢するという選択肢は安倍首相も取りにくいとみられる。

「内助の功」と異なる新しい政治家夫人像

これまでも、人事のたびに小泉氏の入閣が話題となってきた。ただ、小泉氏はその時々の言動で婉曲に入閣を辞退する意思をにじませ、東日本大震災からの復興などの下働きに徹してきた。「あからさまな政権の人気取りに利用されたくないとの小泉流の哲学」(小泉氏周辺)からだ。ただ、首相周辺からは「何様だと思っているのか」などの不満も出ていた。しかし、今回は小泉氏自身が動かなくても、入閣辞退への批判は出そうもない。

売名行為ともみられたイクメン宣言の揚げ句のスキャンダル発覚で、議員辞職に追い込まれた「魔の3回生」の例もあるが、小泉氏は少子化対策を進める「本物のイクメン議員」を目指しているようにも見える。

一方、滝川さんも子育ての傍ら、これまで通りの多方面での活動に強い意欲を示す。従来の内助の功とはまったく違う政治家夫人像だ。もちろん、近い将来行われる次期衆院選では地元選挙区を守る大人気の妻になることは想像にかたくない。今から地元での夫婦そろい踏みの活動が話題になっている。

小泉氏と滝川さんは8日、代理人を通じて横須賀市役所に婚姻届けを提出し、名実ともに夫婦となった。ネットには「お・も・て・な・し」をもじって「ご・け・っ・こ・ん」や「お・よ・め・い・り」という5文字があふれている。将来の首相候補の妻になっただけに、一部では「た・ま・の・こ・し」と揶揄した書き込みもある。小泉氏にとって「そうしたやっかみや雑音をどう乗り越え、一匹狼に徹した父親とは違う王道で、首相を目指す『進次郎劇場第3幕』の開幕につなげられるかどうか」(首相経験者)が今後の課題となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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