なぜ必要?小学校プログラミング必修化の裏側 大学入試も変わる教育改革の真のねらいとは

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今、教育に大改革が起きている。2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、中学校、高校へと順次拡充される。24年度には大学入試にもプログラミングなどの情報科目が追加される方針だ。これらは、20年度から導入が始まる「新学習指導要領」に盛り込まれた項目の1つ。どのような背景で、教育改革が起きているのか。そしてなぜ、小学校からプログラミング教育が必要なのか。

「知識の詰め込み型」ではダメ

20年度の教育改革は、「ゆとり教育」の“衣替え”でもある、と指摘するのは、さまざまな教育現場で取材を行っている教育ジャーナリストの中曽根陽子氏だ。

中曽根陽子
教育ジャーナリスト。講演活動やワークショップも精力的に行うほか、母親のための学びのプラットフォーム「マザークエスト」を主宰している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)ほか多数

「今回の教育改革が目指しているのは、社会の変化に対応できる人材の育成です。速いスピードでデジタル化やAI活用が進み、これまで人間が行っていた仕事がどんどん機械に置き換わっています。そんな中、人間に残されているのは『考えること』。今後は、与えられた問いに対して正しい答えを出す力ではなく、自ら課題を見つけて解決できるような、思考力や探求力が必要なのです」

これまで日本で行われてきた教育は、いわゆる「知識の詰め込み型」。大学入試も、知識をどのくらい習得したかを問うものだった。知識詰め込み型からの脱却であれば、賛否両論あるゆとり教育も同じ。では、今回の改革はどのような点で“衣替え”したのか。

「当時、ゆとり教育が推進されつつも、大学入試では相変わらず知識の蓄積量が問われ、思考力や探求力が評価されにくい内容でした。その点、今回の改革では、大学入試も思考力を問うものに変わります。

ゆとり教育の実施当時、問題となっていたのは教育現場の混乱です。例えば、思考力を育てる目的で『総合的な学習の時間』が導入されましたが、その具体的な授業内容については示されていなかったために、本質的な意味が理解されませんでした。ちょうどその頃、OECD(経済協力開発機構)の国際学力調査で日本の子どもの学力低下が明らかになり、ゆとり教育に否定的な意見が増えてきました。もっとも、このときに明らかになった学力低下はその前の時代の負の遺産とも言えるのですが……」

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