ここまで進化したしょうゆ、その魅力とは? キッコーマンのしょうゆ戦略に迫る

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もう1つの支持される大きな理由は「生しょうゆ」であることだ(※)。「生しょうゆ」とは、「火入れ」という工程を行わないしょうゆのこと。

※「いつでも新鮮」シリーズには、「生しょうゆ」ではない商品もあります

一般的なしょうゆは、原材料である大豆と小麦に麹菌を加えて「しょうゆ麹」をつくり、そこに食塩水を加えて「もろみ」という状態にする。そして約半年間の発酵・熟成の後、搾り、「火入れ」という工程を経て、色・味・香りを調えていく。昔からしょうゆ工場では、「火入れ」をする前の「生しょうゆ」がおいしいということは知られていたが、「火入れ」をしていない分、品質の変化が早く、一般的に常温で流通させるのが難しかった。赤城氏が続ける。

「しょうゆ市場が成熟する中で、いかに付加価値のあるものを開発するかという課題がありました。そのときに、おいしいけれど常温流通が難しかった生しょうゆを、鮮度を保つことのできる密封容器に入れて販売することで、お客様の潜在的なニーズを満たすことができると考えたのです」

この「いつでも新鮮」シリーズは「しぼりたて生しょうゆ」が大きく受け入れられたことをきっかけに、「だししょうゆ」や、ロングセラー商品である「特選 丸大豆しょうゆ」をさらに進化させた「特選 丸大豆しょうゆ まろやか発酵」など18種類、26アイテムを販売している(※)。

※2019年8月現在

「減塩」「アレルギー」など、お客様のニーズへの対応

減塩しょうゆのラインアップも豊富。健康ニーズの高まりもあり、必要性に迫られずとも「減塩」を選ぶユーザーも多いそうだ

現在、「いつでも新鮮」シリーズの中で、とくに伸びているのが「減塩・低塩」カテゴリーの商品だ。健康ニーズの高まりで、塩分を気にするユーザーが増えているからだ。ユーザーのニーズに合わせ、25%から50%までの食塩分カットの商品を多数提供している。

「『いつでも新鮮』シリーズのほか、当社の減塩しょうゆカテゴリーの売り上げは、2010年度から17年度で、減塩しょうゆ市場全体の伸び(1.5倍)を上回る2倍となっています。また、大豆・小麦を使わずに、えんどうまめを原料としたアレルゲン27品目不使用の『えんどうまめしょうゆ』という主にアレルギーのお子様がいらっしゃるご家庭のニーズに対応した商品もあり、レストランなど業務用でも採用されるようになっています」(赤城氏)

アレルギー対応してほしいというお客様の声に応える形で誕生した「えんどうまめしょうゆ」。売れ行きも好調だ
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