金融機関発の認証プラットフォーマーに 数分で口座開設を可能にする最新技術
銀行の口座開設や電子マネーの送金、フリマアプリの会員登録、チケット申し込みなど、日常生活の中で厳格な本人確認が求められる場面が増えてきた。背景にあるのは、犯罪行為につながるなりすましなどの不正利用だ。
こうした社会情勢の中、本人確認の厳格化は避けて通れないことだろう。ただ、本人確認を厳格に行えば、ユーザーは多くの書類提出を求められるなど、手間が増えていく。それを嫌ってサービスの入会や利用をやめるユーザーは多く、事業者の悩みの種になっている。
生体認証を活用した本人確認で利用者や事業者の手間を軽減
この問題の解決を図るサービスを提供しているのがポラリファイだ。本人確認をオンラインで行うことを「e−KYC(electronic Know Your Customer)」と呼ぶが、同社のe−KYCサービスは、生体認証技術を活用して、本人確認に伴うユーザーや事業者の手間を軽減。よりスピーディーにサービスが利用できる環境を整えることができる。
いったいどのようなサービスなのか。銀行に口座を開くケースで説明しよう。銀行の口座開設というと、かつては店頭で行う人が多かった。しかし、店頭での口座開設は、銀行の営業時間内に行く必要があるうえ、受け付け後に長時間待たされるという経験をした人は少なくないはずだ。現在はオンライン申し込みという選択肢もあるが、非対面での本人確認は、対面よりハードルが高い。
同社企画部の中川貴徳氏は次のように語る。
「オンライン申し込みでは、まず免許証などの写真付き本人確認書類を撮影し、その画像をアップロードしますが、本人確認はそれで終わりません。本人確認書類に記載されている住所に、銀行からの転送不要郵便が届いてようやく完了です。口座をすぐに使いたくても、最短で申し込みから2~3日、多くは1週間~10日しないと利用できませんでした」
銀行が手間とコストをかけてまで郵便を発送するのは、犯罪収益移転防止法でそのように定められているからだ。しかし、これではユーザーがあまりにも不便だということで、法律が改正され、2018年11月から、オンライン申し込みにおける本人確認の方法が緩和された。
本人確認の方法はいくつかあるが、最も簡単なのは、申込者がスマホで本人確認書類と顔写真を送信する「ネット完結方式」で、郵便が届くのを待たずに口座を開設できる。
一方で、20年4月から、非対面での本人確認は、本人確認書類の写しが2種類必要になるなど厳格化される。
こうした中、同社は、法改正に対応した顔認証サービスを提供。顔認証を行いたい事業者のスマホアプリやWebブラウザに、同社が開発したSDK(Software Development Kit)を組み込むと、安全かつ簡単に本人確認ができるという。