輸出規制後の韓国、対日「報復カード」は何か 「レクサス」「ユニクロ」の輸入厳格化の可能性

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韓国の産業通商資源省のある幹部は「WTOに提訴することは世界の世論に訴えるという側面が強い。今年初頭から日本は韓国に対して経済的な報復を行うという話が出ていたので、韓国政府も対抗策を用意していた」という。実際に、韓国側には対抗カードがあるという話だ。

通関の際に、例えば自動車では排出ガスと騒音、ファッション製品は知的財産権違反などを理由に挙げて、書類審査などを厳しくすることはできる。しかし、このような行為もまた、WTOへ提訴するに十分な口実を日本に与えることになる。そのため、韓国政府が報復措置を決めても、公式に措置の実施を認めることはしない方針だ。

「報復が報復が呼ぶ」ことへの懸念の声も

サムスン電子とSKハイニックスなどの韓国企業が世界シェア6割を占めるメモリー・半導体分野もまた、日本が相対的に弱い分野だとの指摘が出ている。ソニーやシャープなどの日本企業は、テレビを生産する際にサムスンディスプレーやLGディスプレーの有機発光ダイオード(OLED)パネルを輸入して最終完成品を作っているのがその一例だ。

ただ、「報復がさらなる報復を呼ぶ」ことを心配する声もある。韓国・産業研究院システム産業研究室のキム・ギョンウ室長は「韓国の自動車市場における日本車のシェアは7%を下回る程度。さらに、全般的な輸入規制を強化するとなれば、日本への輸出に依存する韓国の中小企業には死活問題になる」と指摘する。半導体もまた、日本は韓国ではなく、台湾を代替輸入先として活用できるためだ。

日本の挑発にいちいち対応していたら、後で緊張した関係を落ち着かせようとしても手がつけられないのではとの意見がある。財界関係者は「日本が政治問題を経済・通商問題として対応してきても、韓国が同じやり方で対応する必要はない」と述べた。

ソウル新聞取材班
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