「リアル」と「web」の融合で市場を創造 アイルが生み出した独自のビジネスモデル

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一人ひとりの主体性・積極性がアイルの成長を支えている

福島氏は、「数多くの企業や経営者を取材する中で、成長する企業、成功する企業は共通して、優れた企業文化を持っていると感じていますが、岩本社長が大切にされてきたことは何でしょうか」と尋ねる。「企業は人なり」というが、連結社員数が660人余りに成長した今、創業当初からの文化をどのように守っているのだろうか。

「まずは情報を徹底的にオープンにすることですね。そのためにも、創業時から月1回全社員が参加する『月報会議』を行っています。インサイダー情報となる部分を除き、すべての情報を公開しています。このほか、毎月、優秀な成績を収めた社員と一緒に食事をする『社長会食』なども行っています」と岩本氏は紹介する。

そう言うと、岩本氏のカリスマ性による「鶴の一声」で仕組みがつくられているように思うかもしれないが、「私の意見よりも社員の意見によって新たな仕組みができることのほうが多いのです。当社では『プチ社長』と呼んでいるのですが、社員一人ひとりが社長の自覚を持ってアイデアを形にしています」(岩本氏)。

例えば、前述した「月報会議」は情報がオープンになるというメリットがあるものの、会議時間が長くなりがちだったため、社員の意見により、要点をコンパクトに伝える形式に変更された。このほか、昼の休憩が12時からだと飲食店が混むので、11時30分からにするといったことも社員の意見から実現した。

ちなみに同社には、日々のコミュニケーションを通じて、自然と社内でキーワード化された「アイル語」なるものがあるという。「当たり前のことを当たり前に」「思い切りバットを振る」などの言葉だが、まさにこれらが社員の行動指針にもなっているわけだ。このような会社であれば、社員も仕事を楽しみ、やりがいを感じられるに違いない。実際に、同社では社員の定着率もよく、週刊東洋経済「CSR企業総覧2017年版」の「『女性新入社員に優しい』ホワイト企業500社・新卒3年後定着率の高い会社:女性編」の第1位(※)にも選ばれている。

「今後は営業利益率のさらなる向上や、海外展開なども視野に成長を続け、広く多くの方に知られ親しまれる会社になりたいですね」と岩本社長は抱負を語る。

福島氏も「岩本社長がつねに社員に気づきを与え、社員は失敗を恐れず、主体的に積極的に仕事にチャレンジしていく。そのダイナミズムがアイルの成長を支えていると感じます」と印象を述べた。その言葉どおり、同社のユニークなビジネスモデルや取り組みがさらに注目を集めることになりそうだ。

※出典:「CSR企業総覧2017年版」