災害時も「止まらない医療」をBCPで実現へ 「決して当たり前ではない」課題解決に挑む
災害拠点病院として緊急時の供給体制の確保に努める
横浜市立大学附属病院は、横浜市内唯一の特定機能病院であり、高度先進医療の開発と発展を担う医師の育成機関でもある。また、災害時の医療救護活動においては、地域の中心的な役割を担う災害拠点病院として位置づけられている。そのBCPはどうなっているのか。同病院の医学・病院統括部で物品管理担当係長を務める伊東香里氏は、こう説明する。

医学・病院統括部 医学・病院企画課
物品管理担当係長
伊東香里氏
「多数傷病者の受け入れ訓練や病院幹部が参加する災害対策本部訓練のほか、管理当直者を中心に初動を確認する情報収集訓練など目的を変えた訓練を毎年実施しています。大学病院では人事異動が多いため、訓練でマニュアルの確認・検証を継続的に行うことが重要になります」
また物品の調達、管理の観点では、メディアスグループの協和医科器械などをはじめとしたサプライヤーとの関係を強化し、災害時に供給を受けられる体制を確保しているという。

「県・市・区役所とも密に連絡を取り、地元の金沢区役所とは大規模災害時に結成される"金沢区医療救護隊"について運営や訓練企画などの協力体制を構築しています。重症患者は災害拠点病院である当院へ搬送されるため、区役所や近隣の病院との連携は非常に大事です。また院内には一定の備蓄がありますが、大規模災害時の供給体制をきちんと構築しているパートナーは、緊急時対応で非常に重要になっていくのではないかと考えています。SPD(物流管理体制)業務を担う協和医科器械さんなど院内業務を委託する企業を選定する際、今後はそうしたポイントをより重視していきたいと考えております」