災害時も「止まらない医療」をBCPで実現へ 「決して当たり前ではない」課題解決に挑む

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地震や台風、豪雨など、さまざまな災害に見舞われた平成。新しい時代、令和となってからも、そうした災害への備えは決して忘れてはならない。中でもここ数年、注目されているのがBCP(事業継続計画)だ。とくに医療分野は人命に関わるため、その重要性は高い。医療機器の卸売りを担うメディアスホールディングスでは、今BCPに真正面から取り組んでいるという。同社経営陣に話を聞いた。

メディアスホールディングスグループは、30万種以上ともいわれる医療機器や関連する材料を医療機関に販売する「医療機器の卸売り」を主要なビジネスとしている。これまでM&Aを積極的に行い、事業規模とシェアを拡大。医療機器を安定的に供給するインフラ機能の一端を担ってきた。

メディアスホールディングス
代表取締役社長
池谷保彦

そんな同社を取り巻く医療機器卸業界の現状について、メディアスホールディングス・代表取締役社長の池谷保彦氏はこう語る。

「ここ10年余り、高齢化による医療費増大に伴い国の医療費削減が続いており、業界は逆風の中にあります。新しい医療技術や材料の登場により、取引単価自体は上がっていますが、マーケットは厳しく、私たちにも生き残りを懸けたさまざまな工夫が求められています」

医療に携わる企業として責任を重視

同社は、地方に比べ高齢化の波が遅く、病院数が増加傾向にある首都圏を営業エリアに持ち、これまで順調に売り上げ拡大を達成してきた。また、手術室運営支援プログラム「サージレーン」や手術室情報共有システム「モリス」といった独自ツールの開発を他社に先駆けて取り組み、医療機関へのトータルソリューションの提供を強みとしている。

「医療機器を売るということは長い時間をかけて、医療機関との関係を築き上げていくということです。そのため医療機器の知識はもとより、使い方や症例を医師や看護師の方々と共有することで信頼関係を構築してまいります。こうした細かいコミュニケーションを日々積み重ねることが求められているのです」

そう語る池谷氏は、医療に携わる企業の責任として、利益だけでなく社会的役割も重視しているという。つねに医療を支える企業としての自覚、責任を持って、事業を展開してきたのだ。今、そんな同社が進めているのが、災害時に事業を継続するための方法を事前に決めておくBCP(事業継続計画)の強化だ。

災害時も医療材料を供給し続けるために

「東日本大震災時に、BCPへの対応不足が浮き彫りになりました。平成は、多くの災害に見舞われました。もし首都圏で大災害が発生したら、どうなるのか。そのために必要なものは何か。今年3月、東日本大震災直後に策定したBCPマニュアルの本格的な改訂に向けて、見直しを始めました」(池谷氏)

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