ゴルフは「観る」のが楽しい! 海外ゴルフツアー中継の楽しみ方を語る

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スポーツには「する」楽しみと「観る」楽しみがあるといわれる。中でもゴルフで、あのタイガー・ウッズや松山英樹が出場している世界最高峰のゴルフツアー「PGAツアー」が日本で全試合観ることができるのはご存知だろうか。海外ゴルフツアー中継の面白みはどこにあるのか。その魅力や楽しみ方について、ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏と、CS放送「ゴルフネットワーク」のPGAツアー中継などテレビ解説で活躍するツアー通算9勝の佐藤信人プロが語り合った。
ゴルフジャーナリスト
三田村 昌鳳 みたむら しょうほう
1949年生まれ。大学卒業後、『週刊アサヒゴルフ』副編集長を経て、77年にスポーツ編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。日本ゴルフ協会(JGA)オフィシャルライター、日本ゴルフツアー機構(JGTO)広報アドバイザー。逗子・法勝寺の住職も務める。

三田村 4月の「マスターズ」でタイガー・ウッズ選手が見事に優勝しました。私はゴルフジャーナリストとして、彼がまだ子どもの頃から取材をしてきましたが、彼ほどの栄光と挫折を味わった選手はあまりいないのではないでしょうか。ひざや腰の故障でツアーに参加できない時もありました。そのせいもあって最近は負担の少ないスイングに変えてきています。「マスターズ」でもかつてのように力任せに振るのではなく円熟した印象を受けました。

佐藤 確かに攻め方もだいぶ変化してきましたね。以前のウッズ選手であれば、フェアウェーのど真ん中にぶっ飛ばして、ピンがどこに立っていても根元を狙っていくというスタイルでした。ところが、今回の「マスターズ」でのタイガーの戦いぶりはまさに教科書通りの攻め方でした。

とくに12番ホール以降はそれが際立っていました。前の組の選手がともに池に入れたことを知ると、ピンを狙わずにグリーンの中央狙いに切り替えます。最終18番ホールもボギーでも優勝となると、きっちりとボギーを打ってくる。セオリーどおりと言えばセオリーどおりですが、それをきっちりとできるのもすごい。視野の広さというか、ゲームマネジメントのうまさが際立っていましたね。

三田村 「球聖」と呼ばれたボビー・ジョーンズは、ゴルフとは誰かに勝つのではなく、各ホールのパー、すなわち「オールドマン・パー(パーおじさん)」との戦いだと語りました。「プロはパーではなくバーディーで上がらなければだめだ」と言う人も多いでしょうが、メジャーでは、バーディーを狙って失敗すると、とたんにボギーやダブルボギーになってしまう。結局は、セオリーどおりに攻めるのがいちばんいいということも少なくありません。

選手の飛距離が伸びたことで
ツアー中継の手法も
エンターテインメントとして進化

6月13日に開幕する今年の全米オープン会場・ペブルビーチGL

三田村 佐藤プロは早くから海外ツアーに参戦し、「全英オープン」に出場した経験もありますね。「マスターズ」「全米オープン」「全英オープン」「全米プロゴルフ選手権」は、いわゆる4大メジャーと呼ばれますが、それぞれの違いはどのようなものでしょうか。

佐藤 「マスターズ」がとても華やかなイメージなのに対して、「全米オープン」や「全英オープン」は、選手にとってかなり我慢を強いられるというか、厳しい環境の中で、いかに自分のゴルフができるかがポイントになりますね。厳しいといっても、「全米オープン」がコースの設計やセッティングなど人工的なものであるのに対して、「全英オープン」は自然の地形や風、雨などを相手に戦わなければならないという違いもあります。

三田村 以前、中嶋常幸プロと話した際、「マスターズは国立劇場、全米オープンは国立競技場」と表現していました。また、全英オープンでは、フェアウェーもグリーンもうねっていて、落ちたボールがどっちに転がるかもわからない。大自然に人間が立ち向かっていく面白さ、つらさも含めて全英なのだという気もしますね。

私は1970年代からメジャーを取材していますが、コースのセッティングや見せ方などが、時代に応じて大きく変化していることを感じます。

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