新しい喫煙ルールは飲食店をどう変えるのか 選ばれる店づくりの知られざるパートナー

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「白木屋」「魚民」「笑笑」ブランドをはじめ約1700店舗の居酒屋を全国に展開するモンテローザは、連休前の2019年4月25日、プレスリリースを発表し、一部店舗を除く約1500店舗に喫煙専用室を設置する方針を明らかにした。まだ方針を決めかねている飲食店も多い中で、いち早く大きな決断を下したわけだが、モンテローザの寺﨑奈美・店舗開発部長は「もちろん、この決定に至るまでには社内でも大きな議論がありました」と明かす。

寺﨑奈美氏
モンテローザ 店舗開発部長

「新たに喫煙専用室を設けるとなると、大きな設備投資が必要になります。更にはスペースに余裕のない店舗の場合、お客様用のテーブルを1卓分くらい撤去して場所を確保しなければなりません。4、5名の席がなくなるわけですから、その分、売り上げが減る可能性もあります。一方、全面禁煙にすれば新たな投資もいりませんし、工事なども必要ありませんが、喫煙されるお客様が離れてしまう懸念もあります」

モンテローザは議論を重ねた結果、喫煙専用室を設けることを選んだ。

「喫煙専用室を設置しない場合、喫煙されるお客様には店の外に出て喫煙できる場所に移動していただくしかありません。モンテローザが展開している居酒屋チェーンでは、靴を脱いで入店していただくタイプの店舗も多いため、お客様にとってはかなりの手間になります。しかも外が寒かったり暑かったり雨が降っていたりするときは尚更です。喫煙される方も弊社にとっては大事なお客様。たばこが吸える場所が減っていく中で、ゆっくりくつろぎたいというお客様のご要望にもお応えするためには、喫煙専用室を設けるのがベストだと判断しました」

一人ひとりの顧客を大切にし、たばこを吸う人も吸わない人もくつろいで過ごすことができる環境をつくる。それがモンテローザの出した結論だった。

まず正確な情報を収集することが大切

約1500店舗に喫煙専用室を設置するというモンテローザの発表は、同業者に少なからずインパクトを与えたようだ。JT(日本たばこ産業)で分煙コンサルティングをしており、主に居酒屋業界の店舗からの相談に対応している玉置智世主任はこう言う。

玉置智世氏
日本たばこ産業 たばこ事業本部 AP推進部主任

「5月の連休明け以降、居酒屋チェーン様からの問い合わせが増えています」

実は、モンテローザの分煙環境整備にあたり、さまざまな分煙ノウハウを提供していたのがJTだ。居酒屋業界にとって大きな影響を与える新しい喫煙ルールに対応すべく、社内での議論にとどまらず、社外の意見も積極的に聞くなど情報収集をしていたモンテローザの寺﨑氏は、JTに相談したことがとても役立ったと振り返る。

「法律の内容についてもかみ砕いて説明してくれましたし、いろいろな情報やこれまでの飲食店における分煙の事例を基にアドバイスしてくれました。それに何といっても分煙では豊富なノウハウをもっているプロフェッショナル集団ですから、さまざまな情報やアドバイスをいただけて、とても心強かったですね」

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