デジタル変革はアナログ体質強化から 既存ビジネスの発展に必要なこと
▼平井精密工業株式会社
IT基盤構築とアメーバ経営
エッチング加工や機械加工を中心とした高い加工技術で、精密な電機・電子部品を製造する総合加工メーカーの平井精密工業。大阪に本社を置く、従業員約430人の中堅企業だが、「高品質」かつ「短納期」「高付加価値」という強みを持つ同社のサービスは、半導体や自動車、通信など、幅広い分野で高い評価を受け、国内1200社以上のメーカーと取引をしている。
同社は、売り上げや製造工程、仕入れ、経費、労働時間など、あらゆるシステムを統合。それを従業員すべてがつねに利用できるユビキタスを超えたアンビエントともいえるデジタル環境を構築することで、ビジネススピードの向上と徹底した採算管理を実現した。それと同時に、「アメーバ経営」を取り入れ、企業風土の変革を狙ったという。
つまり、TQC(Total Quality Control)時代のような、小集団を経営手法の中心にするアナログ的な風土改革と、デジタル化の相乗効果を引き出したものといえる。各部門で洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造することができたのだ。
同社は、デル製品を全面採用して仮想化環境を構築することで、IT基盤を大きく発展させ、アメーバ経営を事業の根幹に位置づけるための足場を固めることに成功したという。
▼株式会社キャステック
IT基盤革新が働き方改革を支援
自動車や自動二輪車部品の製造に用いられるダイキャスト用金型のコアピンやインサートの製造・販売を専門に手がける金型部品メーカーのキャステック。国内をはじめ、米国やアジア、中東、欧州など、世界20カ国以上の自動車・部品メーカーに対し、グローバルに製品供給を行っている。
同社は、工場の製造工程や技術、設計などで使用する約130台の端末を仮想化統合し、障害対応の効率化やセキュリティーの強化、より柔軟な働き方の実現など、多くの成果を上げているという。
同社は従来、情報セキュリティー強化に向けて、各部門によるルールの徹底や啓蒙活動を進め、ユーザーデバイス基盤を統一することで、部門を超えた自由闊達なブレーンストーミングが各所で生まれることにもつながった。また、場所にとらわれない働き方ができるようになったことで、家庭の事情で転居する場合に、退職することなく継続して働けるようになり、復職を希望する遠方の元従業員が再び働けるようになった。
こうした重要な取り組みのパートナーとして、同社はデルを選定し、デスクトップ仮想化統合の基盤構築からプロジェクト全体のマネジメントまですべてを任せることで、今後の基盤の拡張だけではなく、工場や現場に蓄積されたデータの分析などさらなるIT基盤の革新に挑むという。