「頼れるリーダー」がチームをダメにする理由 変化の時代には「一緒に成長する」ことが大事

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むろん大手企業も含め、最近では環境の変化に対応しようと何らかの取り組みを行っているところも少なくない。中には「新規事業企画室」や「イノベーション推進室」といった部門を設置しているところもある。

ただし現状は日本企業がイノベーションを次々と生み出しているといった状況にはないようだ。その理由はどこにあるのか。

「カオス」のないプロジェクトは成功しない

仲山 進也(なかやま しんや)
楽天大学学長。仲山考材株式会社代表取締役。慶應義塾大学卒業後、シャープを経て1999年に楽天へ移籍。2000年に「楽天大学」を設立。創業当初の数十名規模の組織だった楽天から数千名規模に成長するまでの経験をもとにチームや企業の成長についての著作を発表している

「組織にも賞味期限があります。日本の大企業で新規事業を立ち上げようとするときに、結果が出ないまま潰れてしまうことがよくあります。例えば、新規事業についても大企業の組織運営ルールを適用するパターン。会社でしかメールが読めない、SNSが使えない、出張は事前申請と承認の手続きが必要、既存事業と同じKPI(重要業績評価指標)で管理される、ROI(費用対効果)を問われる等々……。これらは極力リスクを抑え、カオスが起きないようなルールやプロセスとして設計されています。イノベーションとは、そもそも試行錯誤のカオスを乗り越えることで価値創造を実現することなので、うまくいくはずがありません。そもそも今のご時世、新しい商品・サービスを開発するのに、そんなに大規模な組織は要らない場合が増えています。重厚長大産業の時代の『大きいことはよいことだ』という価値観で組織を大きくしてきた成功体験の賞味期限は切れていると思います」(仲山氏)

そのような組織に新しい風を起こすためにはどのような考え方や行動が求められるのだろうか。大企業において、新規事業を成功させるチームのつくり方について、仲山氏は述べる。

「まず大切なのは考え方を変えることです。指示命令形で統制のきいた効率的な組織ではなく、集団的に試行錯誤をしながら常時アップデートし続ける効果的な組織をよしとする。パソコンで言えばOS(基本ソフト)を変えるレベルです」

とはいえ、大手企業の場合、その考え方で「本流」である既存の主力事業に変革を起こすことは可能なのだろうか。既存の事業であれば、前例や部署間の力の強弱などもあり、なかなか意見も出しづらいし、仮にカオスになった場合のリスクが大きいように思える。

「全体を一度に変えようとすると難易度が高くなります。おすすめなのは、組織の際(きわ)に『出島』のような場所をつくって、『異分子』的なメンバーを中心に社内外のパートナーと共創チームをつくり、新しい試みを始める方法です。既存の事業でOSを入れ替えるのは大変ですが、新たなチームであれば新しいOSで始めやすいので」

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