「頼れるリーダー」がチームをダメにする理由 変化の時代には「一緒に成長する」ことが大事
日本企業が今、大きな転機にさしかかっている。労働力不足などに伴い、限られた人的リソースでチームのパフォーマンスを上げることが求められるようになっているのだ。こうした中、強いチームをつくるためには何が必要なのか。「楽天大学」の学長として、延べ3万社の経営サポートを行った「チームビルディング・共創」のプロフェッショナルで、『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則―「ジャイアントキリング」の流儀』などの著書もある仲山進也氏に聞いた。
価値の「賞味期限切れ」が起こりやすくなっている
「モノが売れなくなった」と言われるようになって久しい。それに対して仲山氏は、「“売れていたときの価値”の賞味期限が切れている」と指摘する。自社の商品やサービスに価値を感じてくれていた顧客が、時代の変化に伴いそれを認めなくなっているケースは少なくない。「賞味期限」とは具体的にどういうことなのか。
「東日本大震災後に宮城県の南三陸町のお手伝いをしたんです。最初に行ったときは、買い出しのため車で往復2時間かけて隣の市まで行かなければなりませんでした。次に行ったとき、1店舗だけ仮設で営業を再開していました。数カ月後に行くと、ほかのお店も仮設店舗で復活していました。
そうすると、最初のお店は、以前と同じ商品を同じように売っているのに、お客さんが減ります。『自店が選ばれている価値』という視点で考えてみると、1店舗だけのときは『2時間の買い物コストを解消してくれること』に価値がありましたが、他店舗が再開した時点で、『ほかのお店より近い』とか『安い』とか『店長が友達だから』といった理由で選ばれるように変わっているのです。『2時間の買い出しコスト解消』という価値は、賞味期限が切れたわけです。それを見て、『世の中で起こっているのってこういうことなんだな』と実感しました」
変化が激しく、競争相手も次々と登場する時代には過去の成功体験が通用しなくなる。変化の本質に気づかない限り、課題の解決にはつながらないだろう。