「運ぶ」に加えられた、FedExの強さの根源 中小企業の貿易支援や高度な「検体」輸送も

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「シンガポールには、国際共同治験を行う複数の医薬品開発業務受託機関(CRO)が多く拠点を置いています。新薬創出に関する世界でも重要な場所に、迅速かつ品質の高い輸送ができるのでお客様には好評をいただいています」

この画期的なソリューションの提供の背景には、2016年に買収したオランダのティエヌティエクスプレス(TNT)がある。TNTのヘルスケア関連における豊富な経験と国内輸送ネットワークに、フェデックスの確立された国際輸送ネットワークを組み合わせることで、サービスの提供を実現したのだ。

「人を大切に」が原点

フェデックスをひもといていくと、中小企業のサポートもヘルスケア分野での輸送ソリューションも、ハード面の整備と「人」を中心としたソフト面の強化をバランスよく進めて生まれてきたことがわかる。氏家氏は、その取り組みこそがフェデックスの企業文化だと説明する。

「フェデックスの企業理念はPSP。People(人)、Service(サービス)、Profit(利益)の頭文字をとった造語です。従業員を第一に考えることで、従業員は質の高いサービスをお客様に提供し、それが結果として企業に利益をもたらすという考え方で、これはアメリカでの創業当時から変わらない当社の企業活動すべての基盤です」

人を大切にすることで、事業を好転させていく――。その精神は職場での多様性推進にも反映され、障がい者雇用はもとより雇用後のサポートとその同僚へのトレーニングにも力を入れるほか、一部社員にはフレックス勤務や在宅勤務制度も導入している。「誰でもその能力を存分に発揮できる職場環境の整備が重要」と氏家氏。世界を輸送ネットワークでつなぐフェデックスは、人のつながりと多くの新たな可能性も創造していこうとしている。

地域に根差すフェデックス
フェデックスの企業理念「PSP――People(人)、Service(サービス)、Profit(利益)」は、企業を構成する「人」を第一に考えている。同様に企業活動を展開するうえで欠かせない存在である地域、そして地球全体を大切に考える取り組みが、同社のCSR活動だ。グローバルな取り組みとしては、エネルギー消費による環境の影響を最小限に抑制することを目標とし、これまで順調な推移を見せている。航空機からのCO2排出量は、2005年をベースラインとして2020年までに30%削減を目指し、現時点で22.2%達成。貨物輸送車両の燃費は、2005年をベースラインとして2025年までに50%向上させることを掲げて、37.9%達成している。
より身近な地域への貢献活動としては、毎年日本の各営業所の従業員が地域のニーズに合ったボランティア活動を行っている。昨年は全国9カ所で清掃活動を展開。121人の従業員が参加し、総計466.3kgのゴミを拾い集めた。事業はグローバルそのものだが、その軸足はしっかりと地域に根差している。