ボランティア活動から見えてくる企業風土 共助社会づくりを進めるための社会貢献大賞

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従業員が自主運営する「端数倶楽部」により社会参画
【企業部門/大賞】富士ゼロックス端数倶楽部

自然環境保護「富士山植樹祭」
社会福祉「富士ゼロックススーパーカップ 観戦ボランティア」

富士ゼロックスの社会貢献活動の歴史は長い。従業員のボランティア活動を促進する仕組みについても1990年代にはすでにボランティア休暇制度を設けている。

富士ゼロックス
CSRグループ長
端数倶楽部 事務局長
渡辺 美紀

同社CSRグループ長の渡辺美紀氏は「当社は事業そのもので社会の発展に貢献することを社是として掲げています。社員自体が社会と関わることで、よりよい仕事ができるようになる、というのが基本的な考え方です」と紹介する。

本業で培ったドキュメントソリューション技術を生かし、アジア新興国における児童への教材提供や、国内では伝統文書の複製などにも取り組んできた。ほかにも国内外で多くの活動を行っているが、今回の大賞受賞ではその内の1つ、「端数倶楽部(はすうくらぶ)」が評価された。

端数倶楽部 事務局の梁川貴司氏は「端数倶楽部は1991年に発足しました。30年近くの間、自主的かつ自発的に運営を続けています」とその特徴を語る。

富士ゼロックス
CSRグループ
端数倶楽部 事務局
梁川 貴司

会員は富士ゼロックスや関連会社の従業員で、会員数は約3400人だ。その仕組みは、毎月の給与および各期の賞与から100円未満の端数と本人の任意の寄付を加えた額が天引きされる。積み立てられた拠出金は「自然環境保護」「文化・芸術」「教育」「国際支援」「社会福祉」などの活動テーマで、会員から推薦のあった寄付先から選ばれ寄付が行われる。

寄付にあたっては会社から同額の寄付(マッチングギフト)も行われるが、梁川氏は「拠出金の使途は会員の代表で構成される約30人の運営委員が審査を行い決定します。CSRグループの事務局はあくまでサポート役です」と話す。

富士ゼロックス
佐賀営業所長
端数倶楽部 代表幹事
飯山 泰介

端数倶楽部では寄付活動のほか、自主企画のボランティア活動も活発だ。自然環境保全、社会福祉、アジア各国への国際支援や、災害発生時の被災地支援といったボランティア活動は年間約30件にも上る。運営委員で代表幹事の飯山泰介氏は「端数倶楽部は『やりたい』という人の自発的な思いで組織されています。参加するのに会社の許可は要りません。一人ひとりができる範囲で活動に参加できればいい。中には募金だけでも参加したいという人もいます。それだけに拠出金の使途を決める運営委員会の責任は重いと感じています」と言う。

年3回開催される運営委員会や毎月開催される幹事連絡会では、社歴や職級などに関係なく活発に意見が交わされるという。また再雇用者やOBなども端数倶楽部に参加できるようになっている。「今後はさらに活動の連携先を広げていきたい」と飯山氏は抱負を語る。

渡辺氏は「毎月発行する『端数ニュース』などの広報を通じ、ボランティア活動に関心を持つ従業員も増えています。社会と関わるこういった活動により、従業員の自己表現や自発性の向上、さらには組織の活性化につながると期待しています」と、その意義を強調する。

国際支援・文化教育「カンボジア小学校の外壁修復作業」
災害支援「廃棄物受入れと仕分け作業(熊本)」
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