2027年リニア開業で、日本はこう変わる 経営学者・入山章栄氏が語る「リニア開業後」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

巨大都市圏の誕生は、ビジネスや余暇の過ごし方などに変化をもたらす。早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏は、「リニアの沿線地域で次々にイノベーションが生まれるかもしれない」と期待を寄せる。

早稲田大学ビジネススクール
入山章栄 准教授
慶應義塾大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所に勤務した後、ピッツバーグ大学経営大学院でPh.Dを取得。2013年より現職。著書に『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP)など。監訳・解説した近著に『両利きの経営』(東洋経済新報社)

「結果を残している経営者の多くは、ほぼ例外なく多くの移動をして多くの人に会っています。先日、私がリスペクトしている経営者のお1人が『創造性は移動距離に比例する』と話していたのですが、まさにそのとおりだと思います」

結果を残す人が自ら積極的に移動するのは、ビジネスを有利に進めるための、もっと言えばイノベーションを起こすための「情報」を取るためだ。

「インターネット上の情報は、誰でもアクセスできるため、相対的に価値はないと考えるべきです。本当に価値があるのは、対面で得られる『ここだけの話だけど……』というインフォーマルな情報です」(入山氏)。こうした表に出ていない情報がビジネスの勝負を決めるという。

「『インターネットの時代なので、どこでビジネスしても変わらないですよね』とよく質問されるのですが、これは逆に考えるべきです。シリコンバレーで次々イノベーションが起こる理由の1つとして、起業家や投資家、エンジニアが集積し、物理的にいつでも会える環境にある、という面が無視できません。面白い人が集まる都市には、さらに面白い人が集まります」(入山氏)

インターネットが発達した現在においても、人とリアルに会って対話することに価値があるということだ。

北品川非常口及び変電施設の工事風景

事実、1人1台スマホを持つことが当たり前の時代となった現在、オンライン会議をいつでもできる環境になり、人とリアルに会う必要がなくなったように思えるが、ビジネス客がメインである東海道新幹線の輸送量はリーマンショック後の一時期を除いて伸び続けている。

「リニア開業によって、人の移動がさらに活発、広域になれば、今まで以上にインフォーマルな情報が行き交うようになり、イノベーションが生まれる可能性が広がります」(入山氏)

次ページリニアによって新たな「拠点」が生まれる?