2027年リニア開業で、日本はこう変わる 経営学者・入山章栄氏が語る「リニア開業後」
巨大都市圏の誕生は、ビジネスや余暇の過ごし方などに変化をもたらす。早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏は、「リニアの沿線地域で次々にイノベーションが生まれるかもしれない」と期待を寄せる。
「結果を残している経営者の多くは、ほぼ例外なく多くの移動をして多くの人に会っています。先日、私がリスペクトしている経営者のお1人が『創造性は移動距離に比例する』と話していたのですが、まさにそのとおりだと思います」
結果を残す人が自ら積極的に移動するのは、ビジネスを有利に進めるための、もっと言えばイノベーションを起こすための「情報」を取るためだ。
「インターネット上の情報は、誰でもアクセスできるため、相対的に価値はないと考えるべきです。本当に価値があるのは、対面で得られる『ここだけの話だけど……』というインフォーマルな情報です」(入山氏)。こうした表に出ていない情報がビジネスの勝負を決めるという。
「『インターネットの時代なので、どこでビジネスしても変わらないですよね』とよく質問されるのですが、これは逆に考えるべきです。シリコンバレーで次々イノベーションが起こる理由の1つとして、起業家や投資家、エンジニアが集積し、物理的にいつでも会える環境にある、という面が無視できません。面白い人が集まる都市には、さらに面白い人が集まります」(入山氏)
インターネットが発達した現在においても、人とリアルに会って対話することに価値があるということだ。
事実、1人1台スマホを持つことが当たり前の時代となった現在、オンライン会議をいつでもできる環境になり、人とリアルに会う必要がなくなったように思えるが、ビジネス客がメインである東海道新幹線の輸送量はリーマンショック後の一時期を除いて伸び続けている。
「リニア開業によって、人の移動がさらに活発、広域になれば、今まで以上にインフォーマルな情報が行き交うようになり、イノベーションが生まれる可能性が広がります」(入山氏)