スマホが中高生を誘う…、援交や犯罪の危険 必要なのは「リテラシー」ではなく「モラル」

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そして3つ目は、犯罪の被害者になってしまうこと。児童ポルノや自撮り被害の数は年々増加傾向にあります。これまでは知らずにクリックしたら怪しいサイトにつながってしまうというようなものが多かったのですが、最近では子どもたちもお小遣い稼ぎ気分で、チャット(会話)系のアプリなどを使って援助交際相手を探すこともあります。事件になれば被害者ですが、子どもたちが自発的にそういう行動を起こすこともあるということは認識しておいたほうがいいでしょう。

だからといって、今の子に大人になるまでスマホやネットを与えないというのは、ほぼ選択肢としてはありえません。入試も就職活動も、ネットで情報を集めて応募するのが前提になっていますし、逆にあまりに隔離しすぎてしまい、免疫がないまま18歳ぐらいから使い始めると、ネットリテラシーが低いがゆえに犯罪に巻き込まれる心配も高まります。

本質は「リテラシー」ではなく「モラル」

――では、こうしたスマホをきっかけとした犯罪の危険から子どもたちを守るためにはどうしたらいいのでしょうか?

藤川 よくネットリテラシーの問題とお考えになる人がいますが、いちばん大事なのは、モラル教育です。これは学校だけでなく家庭も主体的に行うべきです。「あなたのことを大事に思っている。だから自分を大事にしてほしい。そして、人を傷つけてはいけないし、困っている人がいたら助けてあげて」という至極基本的なことを、言葉に出して繰り返し伝え、態度でもきちんと見せることです。

何事も失敗を繰り返すことで学習して成長するので、「気になってクリックしたら、怪しいサイトに行ってしまった」ということはまったく問題ありません。子どもたちが気になるように作られていますから。

重要なのは、小さな失敗を大きな失敗にさせないことです。例えば、出会い系や援助交際のサイトやアプリなどを興味本位でのぞいたときに、そこで「ちょっと怖いからやめておこう」と立ち止まれるかどうか。そのような分岐点に立ったとき、現実世界で不満をため込んだり、自分の存在価値を感じられなかったりしている子だと、さらにその先へ行き、深みにはまりやすい。ネットに居場所を求め、自暴自棄になり、自ら犯罪被害のリスクを背負い込んでしまいます。

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