365日ジーンズで働く男が選ぶ一本とは? 毎日スーツのビジネスパーソンも必読
「10代の頃は、利他的な大人になって社会に還元したいと考え、自己中心的な思考を持たないようにしようと思っていました。でも、30代になった頃、結局利他的であるためには自己充足が絶対的な前提条件だと気づいたのです。自分の生活にも困っている人が『気持ちは利他だけど』と言ったところで説得力がありませんよね。自分を大切にして、自分を知らないと、他人には何もできない」
利他を貫くには資産もパワーも必要であり、そのためには自分が満たされていなければならないというわけだ。
「結局、必要以上に着飾ることって、相手をマウンティングしようとしている、相手からどうみられるかを意識しているんじゃないかな、と思ったんです。それよりも自分がリラックスできて、楽な状態で他人と会う方が、結果的に、自分のためだけではなくて相手のためにもなるんじゃないかな、そう思いました。外見で自分を表現する必要はないですしね。ただ、パジャマだとラフすぎて相手も戸惑いますし、だらしなさを感じさせず、相手にとっても安心できる服はなんだろうと考え続けた結果、ジーンズに行き着いたんです」
コルクを起業した当初は、ある程度身ぎれいにしたほうがいいと考え、チノパンにジャケットを合わせていたと佐渡島氏は振り返る。しかし、今はより自然体の延長で仕事がしたいと思うようになり、ジーンズに白シャツというスタイルが定番になったそうだ。
「朝起きたとき、『今日は何を着よう』ということに頭を使いたくないんです。ほかに考えなければならないことがたくさんありますから。今やるべきことにフォーカスするための仕組みとして、ジーンズと白シャツというフォーマットに定めたと言ったほうがいいかもしれません」
外見はシンプルに、中身を磨いていくことに力を注ぐ――。マンガや小説といった、ゼロから新たなものを生み出していく仕事をしている佐渡島氏ならではの「洋服哲学」だが、毎日スーツを着用するビジネスパーソンにとっても共感できる話だろう。
時代に合わせて変化し続けることが、生き残りの条件
スーツを着用する必要のない佐渡島氏にとって、ジーンズと白シャツはある種の制服としての役割を果たしている。佐渡島氏が制服に求めている、重要な要素の1つが、機能的であること。
その観点からも、今回試してもらった「リーバイス®エンジニアード・ジーンズ™」は、老舗ブランドの強みと、機能性が感じられたようだ。
「繰り返しになりますが、今回のリーバイスの新作をはいていいなと思ったのは素材やはき心地が『変化している』ところです。老舗の和菓子屋が時代に合わせて味を変えるように、ブランドがトップブランドとしての相対的な地位を保つには変化し続けなければならないと思っています」
そのためには、今の時代に求められるものを組み合わせることが重要だと佐渡島氏は話す。好例が、2017年に羽賀翔一氏によって漫画化された吉野源三郎の『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)だ。212万部を超えるヒットとなったこの作品にも、そのエッセンスがあると、佐渡島氏は語る。