「親も知らないこと」を子どもと学ぶ親の役割 平井理央さんが抱える子育ての疑問とは?

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鈴木 2019年4月からは新たにこの小学生コース1・2年生で「みらい思考力ワーク」をスタートさせます。これは新学習指導要領における「思考力」を養成するもので、国語や算数のほか、日常生活で学んだ知識などを組み合わせ、考えることを通して、知識を活用する力を身に付けることを目的としています。Z会ではその「思考力」を6つの力に分解しています。それが「試行錯誤力」「論理的判断力」「情報整理力」「連想力」「注意力」「推理力」です。これらの力をバランスよく伸ばすことによって、総合的な思考力を養っていきます。

平井 ひとくちに「思考力」といってもバランスがあるんですね。こうした教材を通して、子どもにコツコツ勉強する習慣を身に付けさせるのも、達成感を経験させるのに、一役買いそうです。

鈴木 そうですね。自分で学習計画を立ててみて、計画どおりにクリアしていく。そうした経験をさせることも大切だと思います。また、思考力に関してはZ会小学生コース1・2年生ではプログラミング的な論理思考を養成する講座「プログラミング学習Z-pro(ゼットプロ)」もスタートさせます。こちらはスマートフォンやタブレット等を使った学習となり、音声や動画を利用した新たな学習効果が期待できます。ITリテラシーを養ううえでも意義があるものだと考えています。

Z会流「褒める」教育で熱中できる力を

平井 プログラミング教育などは私自身の時代にはなかったものなので、正直どのように教えればいいのか不安です。でも、子どもが学ぶ傍らで自分も一緒に学んでいくような姿勢で臨みたいと思っています。そうやって、私たち親も一緒に勉強しながら、子どもが自分で何か夢中になれるものを見つけられるといいですね。夢中になったり、熱中したりする力を養う秘訣はありますか。

鈴木 低学年のうちは学校の勉強に即したものでなくても、お子さまが好き・楽しいと思えることを存分にやらせてあげると良いと思います。好きなこと・楽しいことであれば「もっと○○したい」「○○したらどうなる?」と自分で考えを深めやすいからです。自分で考える力を養うためには親が先回りをして、全部答えを教えてしまわないこと。正しいやり方を教えて、それをなぞらせるようにしても単に手順を覚えるだけになってしまう。それでは応用力が身に付かないんです。とにかく失敗してもいいから、まずは子どもが考えた方法を実践してもらう。もし失敗しても怒らずに「なぜうまくいかないのか」を聞いてみる。そうやって子どもが自分で考えられるような問いかけをすることが必要です。

平井 自分の子と接していて驚かされるんですが、子どもはときどき大人が思いもしなかった解決法を思いつくことがありますよね。

鈴木 子どもが多様な解決方法を思いつけるかは、どれだけ思考する経験を積んできたかで決まります。もともと子どもは机の前で勉強している時間よりも、日常生活の時間のほうが長い。だからこそ日常生活の中で、自分で考える習慣を身に付けることが必要になってきます。例えば、「お菓子を均等に分けるにはどうすればいい?」といった問いかけでも構いません。いろんな経験の中で思考の幅を広げていくことが重要だと思います。

平井 日常生活の中だと、親も一緒に考える姿勢が影響してきそうですね。Z会では「褒める指導」をするとおっしゃっていますが、どのように工夫されているんでしょうか。

鈴木 先に出たように、やはり具体的に褒めることが重要です。提出答案の答えが間違っていても、消しゴムで何度も消して書き直した跡があれば、頑張って考えてくれたことは伝わりますので、その過程を褒めることも大事にしています。できたかできないかだけではないんです。Z会では従来から「線の指導」を重視しており、力が伸びていく過程を褒めています。それも本人が気づかない部分も見つけて褒めることが大切だと思っています。そのために、小学生コース1・2年生では、1年間同じ担任指導者がお子さまを見守り、数カ月に一度、課題に対する成長の度合いを親御さんにフィードバックする「あしあとシート」という報告書を作成しています。

平井 自分の得意なものや好きなものを見つけて、夢中になったり、試行錯誤したりしながら、考える力を身に付けていってほしいと改めて思いました。

鈴木 やはり楽しんで学習するという経験は重要です。学ぶことが楽しいと思えた子は、自分でどんどんいろんなことを調べたり、考えたりすることができるようになります。そうやって学びの楽しさを小学生のうちから経験すれば、次の学びの扉を開くことができると思います。