
サブスクリプションが何故ここまで台頭したか?
――サブスクリプションビジネスについて、台頭してきた経緯や最新の状況について教えてください。
川上 今、消費スタイルが「所有」から「利用」へと進む中で、サブスクリプションというビジネスモデルが注目されています。
ICT分野では定額で必要なときにいつでもソフトウェアサービスを利用できるSaaS(サース=Software as a Service)の登場をきっかけに脚光を浴びるようになりましたが、現在音楽や動画のネット配信ではすでにサブスクリプションが当たり前のようになっています。
この「所有」から「利用」へというトレンドは、歴史的に見ると、実は不況後に注目される性質があります。可処分所得が少なくなる中、モノを所有するよりも賢く利用したいというマインドによって拡大する傾向にありますが、今回はデジタル化の浸透によって、それがさらに加速したと考えています。
三澤 NTTPCは今年で設立35年目を迎えます。これまでも定期的に料金を頂戴しながら、インターネットやモバイル、ホスティングのサービスを提供してきました。その視点では、私たちは元々サブスクリプションビジネスを自社で展開してきたと再認識しているところです。この認識はお客さまにも徐々に浸透しているようで、最近ではB to B分野のお客様から従来の「売り切り」を「サービス型」や「ストック型」のビジネスへ移行したい、とよく相談されています。
これはデジタル化の浸透によってネットワーク環境やクラウドサービスが充実していく中で、それを利用して新たなビジネスモデルをつくりたい、という流れが背景にあると考えています。
顧客との継続的関係で経営は安定化へ
――サブスクリプションビジネスを導入すると、ユーザーや提供側にどんなメリットがあるのでしょうか?
川上 収益の平準化ができることです。しかも目先の利益を追うよりも、将来の継続的な利益を目指すため、顧客との関係性や価値提案も意欲的なものになります。一方、ユーザー側は所有から利用に変えることでサービスをより安く利用できるメリットがあるのです。
サブスクリプションビジネスのメリット
三澤 確かに企業にとってサービスの収入を定期的に得られることは、経営の大きな安定化につながります。また将来の収益予測も行いやすくなるので、投資もしやすくなる。サブスクリプションビジネスへ移行することで、企業にはさまざまなメリットが生まれます。
近年ではSaaSサービスの登場でソフトウェアのサブスクリプション化などの成功体験が増えたことから、ソフトウェア以外の分野でのサブスクリプション化や、お客様の「利用」に対するマインドの変化など市場環境も整ってきました。今後ますますこの流れは拡大していくでしょう。
川上 これからサブスクリプションは当たり前になっていく。その中で、大事になってくるのが、ユーザーの目的をいかに「達成」させるかということです。また定額制から従量制になってくれば、達成型課金が主流になっていくはずです。そこではユーザーのニーズを満足させ、いかにつながりを継続させるか、どこまで寄り添えるのかが、重要になってくるのです。
サブスクリプションビジネスで失敗しないためには?
――サブスクリプションビジネスを導入する際に、陥りやすい課題はありますか?
三澤 あります。まず、最初に直面する課題は、これまでの業務プロセスと明らかに違うことをやらなければいけないということです。売り切りであれば、契約を取るまでの受注活動が重要でした。しかし、サブスクリプションビジネスではそれに加えて継続的に価値を提供し続ける必要があります。
サービスクリエーション本部長
三澤響氏
当然、満足を得られるようなサービスを提供し続けようとすれば、従来よりも業務プロセスが複雑になります。そのため、うまくデジタル・トランスフォーメーション(DX)して、いかに効率化を図れるか。それがカギでしょう。
業務プロセスをきちんと設計していないと、結局のところユーザーの満足を得られずに、解約されてしまう状況になってしまうのです。マネジメントを含めた業務プロセスをどう変革していくのかが、課題です。
川上 サブスクリプションで大事なことは、マネタイズの話だけでなく、いかにユーザーとの「つながり」を継続できるかということにあります。例えば、音楽や動画のネット配信などのB to C分野では、基本的にメンバーシップ型企業がサブスクリプションビジネスをしていると認知されています。
業務プロセスの改革が必要
メンバーシップ型企業になるには、ただ月額料金が安いだけでなく、会員特典がなければ、そのサービスをユーザーは魅力的に感じません。つまり、マネタイズに見合った新たな価値提案が必要なのです。その意味で、サブスクリプションを導入するということは、これまでの経営のやり方も大きく変えなければならないということを前提に考えるべきなのです。
三澤 確かに定額制だけに注目しているとサブスクリプションビジネスはうまくいきません。私たちもサービスメンテナンスの対応など、お客様との接点をいちばん大事にしています。その意味で、サブスクリプションビジネスに移行する際には、ユーザーとの関係を永続的に保つための仕組みをまず考える必要があるのです。
ユーザーが何を欲しているのか。その一連の流れをデータマネジメントとして管理することで初めてお客様にあわせたご提案をすることが可能となります。その仕組みづくりを皆さまにご提案していきたいですね。
川上 ユーザーとのつながりをいかに継続させるのか。これまでも小売業や製造業はユーザーとのつながりを、マーケティング手法を駆使しながら大事にしてきたと思うのですが、問題は購入の段階でその流れが止まっていることです。ユーザーが購入すれば終わりなのではなく、購入後にユーザーをどう見るかという「カスタマーサクセス」の視点が今必要になっているのです。
DXがサブスクリプションビジネスでは重要
――NTTPCのサブスクリプションビジネス支援のサービスについて教えてください。
三澤 「カスタマーサクセス」の仕組みづくりには、サブスクリプションビジネスに必要な「業務プロセス」の自動化が重要になってきます。労働人口が減少していく中、業務プロセスは人手に頼るのではなく、いかにコストをかけず効率的なシステムを導入するのかが大事になっていきます。
私たちは従量課金のノウハウや、IoTをはじめとしたネットワークの構築にも大きな強みを持っています。長年培ってきたサービス運営ノウハウや、ネットワーク等のITサービスの提供を通して、お客様の「セールス」から「オペレーション」までをサポートしていきたいと考えています。

川上 サブスクリプションビジネスの構築は、どのようにユーザーとつながっていくかというところから始まります。NTTPCのサービスはサービス導入からサポートしてくれると聞きました。心強い取り組みだと思います。サブスクリプションビジネスは簡単なように見えて、代金の回収方法やプランの作り方など、難しい部分もたくさんあります。そうした部分をサポートしてくれるのは企業にとって非常に心強いですね。
三澤 サブスクリプションビジネスを人手での作業に頼ってしまうと、取扱数のボリューム増加に伴い、行き詰まるケースも生じます。サブスクリプションビジネスの成功のためにも、企業はデジタル化の進展、DXを進める必要があります。
川上 ユーザーとの関係性を追求していけば、サブスクリプションビジネスを構築するためにDXは手段として不可欠です。それに必要なツールを買わなくても、安価な支出で利用できるなら、御社が提供されるサービスは素晴らしいですね。
三澤 今後、多くの企業がサブスクリプションによってビジネスモデルを変換し、収益の安定化を図り、進展していくと考えています。そのとき、私たちはビジネスプロセス支援サービスを通して、お客様のプロセス支援をしていきたいと思っています。
川上 ただ課金するだけのビジネスモデルではなく、メンバーシップ型企業をぜひ目指してほしいですね。そのためにもユーザーとの関係性をいかに継続的なものにするシステムを構築するか。その部分をぜひ大事にしていただきたいと考えています。
