「冬眠人脈」の活用で営業生産性が2.6倍に 働き方改革は、社内で眠る人脈の活用から

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1月16日、法人向けクラウド名刺管理サービスを展開するSansan株式会社が興味深い調査結果を発表した。個人のみが所有し、社内で共有・活用できていない、いわゆる「冬眠人脈」を上手に生かしている営業マンは、非活用営業マンよりも2.6倍生産性が高いというのだ。その根拠はどこにあるのか。そして「冬眠人脈」の活用は、働き方改革に取り組む組織に、どのような効果をもたらすのか。

働き方改革が行き詰まりを見せている理由

数年前から「働き方改革」という言葉は多くの企業で叫ばれ、実践されてきている。だが、その取り組みがうまくいっているかどうかまで把握している企業はそう多くないだろう。

Sansanの調査によれば、88.5%が「会社で働き方改革・生産性向上について取り組んでいる」とする一方で、約半数の49.1%が「うまく機能していない」と感じている。この数字について、働き方改革および業務改革、組織開発・人材開発を専門分野とする野村総合研究所の上席コンサルタント、黒崎浩氏は「改革を急いだばかりに、必要なステップを省いてしまったのでは」と指摘する。

さらに、これまでの日本企業が取り組んできた働き方改革には「2つの局面がある」と解説する。

「多くの日本企業では、まずは足元の課題として残業削減などの勤怠管理見直しや、RPAなどの業務効率化、テレワークなどの多様な働き方の導入に取り組んできました。労働生産性を『アウトプット/労働時間』だとすると、主に分母(労働時間)を減らす取り組みだったと言えます。しかし、ある程度、分母を減らす取り組みが進んでくると、『改革のゴールはそこではなかったのではないか』という問題意識が強まり、分子=アウトプットを増やす取り組みが本格化してきます」

その局面ごとに新しい問題意識を持ち、解決に動くことができればいいが、改革が進まず思考停止に陥る危険性もある。そうならないためにも、思考の順序が重要だと黒崎氏は語る。

「コンサルタントとして、私は必ず顧客に『Why→What→How』の順番で考えましょうと説明します。『なぜその改革を行うのか』をまず腹落ちさせなければ、従業員は真剣に取り組まないからです。ですが、Why、Whatの部分を飛ばしてHowから入ってしまうケースが少なくないのです」

では、企業にとって「Why」の源泉に何があるのか。それは、生産性向上にほかならない。

※調査対象
・20~59歳
・会社員、役員・経営者、自営業、自由業
 (公務員、パートアルバイトは除く)
・営業職に従事
 (飛び込み営業・テレアポ営業・人脈営業の営業職に限定

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