SMBC日興証券「デジタル戦略」次なる一手 異業種参入続々「総合証券の底力」発揮なるか

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そのサービスが、今年ローンチ予定の「株式ポートフォリオ診断サービス」「株価見守りサービス」だ。「株式ポートフォリオ診断サービス」は、AIが全上場銘柄の1カ月後の収益率を予測し、期待収益率の高い銘柄から、各人のリスク許容度に合った銘柄を選定、ポートフォリオを提案する。これまで投資信託のポートフォリオを最適化してくれるロボアドバイザーは存在したが、個別株式の運用をAIがアドバイスするのは業界初の試みだ。

「株価見守りサービス」は、「LC-PH(ロスカット・プロフィットホールド)戦略」をベースに、AIが予測した株価トレンドを活用して、損失は最小限に抑え、利益は拡大させる「最適な売り時・買い時」のタイミングを知らせてくれるサービスである。

総合証券の強みである対面サービスをいっそう強化しつつ、デジタル上でもAIなどテクノロジーの力で顧客の投資行動をサポートするサービスを提供していく。

デジタル戦略で顧客目線の新サービスを提供

対面ビジネスを起点としたAI活用サービスの開発に加え、加速するデジタル化を踏まえ、SMBC日興証券は、ユーザーのデジタル上での体験の質を大切にした「全く新しい投資体験」を提供することにも取り組んでいる。

「現在、当社の株式取引の大半はオンラインチャネルで行われており、年齢や資産額にかかわらず、オンラインチャネルのみで取引を完結させるお客さまが増えています。そんな中、既存の取引ツールを『改善』するだけでなく、お客さまの視点に立って『まったく新しい投資サービス』を開発することで、他社との差別化を図っていくことにしました」

その基盤になるのが、2016年より運営している投資情報メディア「FROGGY(フロッギー)」だ。「FROGGY」は、「お金の常識をカエル。」をコンセプトに、現在650本以上の投資情報コンテンツを掲載する、SMBC日興証券のオウンドメディアである。

「『FROGGY』を立ち上げたときは、『人生100年時代』というキーワードが登場し始めた頃でした。これからは、誰もが正しい知識を持って、お金と向き合っていくことが必要になります。ですので、わかりやすく投資に関する情報を提供していくことが、私たちの大切な役割になると考えたのです」

こうした高い志で運営されている「FROGGY」は、これまでにのべ200万人が来訪、Facebookのフォロワー数も業界トップレベルの5.4万人を誇る、業界きってのオウンドメディアとなった。愛読者には金融のプロや「億(おく)り人※」も多いという。その「FROGGY」が2019年2月に、取引サービスとして進化を遂げようとしている。投資メディアから「株式の売買ができる」サービスへとアップデートするのだ。なぜ、このタイミングで取引サービスに進化させるのか。

※株式投資などによって1億円以上の資産を築いた人のこと

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