
主催:NTTテクノクロス
ご挨拶
代表取締役 社長
串間 和彦氏
2017年4月、NTTソフトウェア、NTTアイティと、NTTアドバンステクノロジの一部事業を統合して発足したNTTテクノクロスの串間和彦社長は「当社は『AIファースト』を掲げ、NTTのAI技術ブランド『corevoⓇ』の下で、新たなサービスを生み出しています」と、AI技術に取り組む姿勢を強調した。同社は、顧客のニーズに応えて最適なシステムを構築するSI事業者として『モノづくり』の経験を蓄積してきたが、この数年は、セキュリティ関連やクラウドコミュニケーションツールなど、自社製品開発による『コトづくり』を推進してきた。ここからさらに「人のノウハウや、ビッグデータから得られる知見などを基に『チエづくり』を発展させたい」と述べ、災害備蓄品管理と、賞味期限の近い品の寄付先を探す支援を組み合わせて、社会貢献やフードロス削減を実現した事例を紹介。「SI力と商品競争力を併せ持ったIT企業として成長する」と語った。
「corevo」は日本電信電話株式会社の登録商標です。
基調講演
AIの普及で予測される未来と迫りくる危機
-AIにできること、できないこと-
社会共有知研究センター
センター長・教授
一般社団法人 教育のための科学研究所
所長・代表理事
新井 紀子氏
人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」(東ロボくん)のディレクターを務めた国立情報学研究所教授の新井紀子氏は「人の脳を模したニューラルネットワークに、ビッグデータを入れれば答えが出るようになるわけではない」と述べ、「統計の運命」として正答率を7~8割程度以上にするのは難しいという統計的機械学習を使ったAIの限界を示した。コンピュータで計算可能な統計、論理、確率を使えても「AIは言語の意味を理解しない」と強調。機械翻訳や自然言語処理の精度を画期的に改善した深層学習も「正しさは保証しない」という課題がある。11年から始まった東ロボくんのプロジェクトは、「意味を理解しないままでは、東大に入れる見込みがない」と16年にすべての科目で模試を受験するイベントは一旦凍結したが、センター試験模試で、受験生上位20%、有名私大に入れるレベルにまで成長した。新井氏は「これが、プロジェクトの開始段階から示したかったことでした」と振り返り、AIとの競争に敗れたホワイトカラーを志向するであろう残り8割の受験生の将来に懸念を示した。ここで浮かんだのが「意味を理解しないAIに、意味を理解できるはずの高校生がなぜ負けたのか?」という疑問だった。そこで、教科書から抜き出した文章を使い、AIが苦手とする同義文判定などの問題をつくって、人の基礎的読解力を調査するリーディングスキルテストを実施したところ、中学・高校生の正答率は想像以上に低い結果が出た。新井氏は「教科書が読めなければ、1人で勉強できない。定義文が読めなければプログラマーにはなれない」と指摘。大きな雇用問題を引き起こしかねないAI時代にこそ「教科書を読めるようにすることが義務教育の最重要課題」と訴えた。
テクニカルセッション
次世代AIロボットの最先端動向
-ディープラーニングがロボットを変える、その先にある未来-
基幹理工学部 表現工学科 教授
産業技術総合研究所
人工知能研究センター
特定フェロー
尾形 哲也氏
早稲田大学の尾形哲也氏は、人の身体能力に当たる、ロボットのハードウェアはかなりの完成度にあり、知能面も「この1~2年で、ディープラーニング(DL)が導入され、実用的なロボットが登場し始めている」と説明した。厳密にはDLは、人間の知的行為を再現するプログラム・機械全般を意味するAIの中の一技術であり、知識を学習させるツールの一つにすぎないが、画像や音声認識でブレークスルーを起こしている。ただ、DLは学習するデータ量や回数がものをいうため、単純な物量勝負では、大手IT企業に勝てない。尾形氏は、AIとロボットの専門家とほとんど交わりがないため、DLをロボットに応用する領域に勝機があるとみて成果を上げてきた。DLを含む機械学習には、結果の成否だけを教えながら膨大なデータを使う「強化学習」と、人が貼ったラベルを使う「教師あり学習」があるが、さらに今ある情報から未来を予測して教師なしで学習する「予測学習」が重要になると考えられている。尾形氏は、タオルを折りたたむロボットに、この予測学習を使い、「今、ロボットが見ている映像が、どう変わるかを予測した映像をつくり出させる」ことで実現。それ以外の作業も学習データを換えることで可能になってきた。日立製作所との共同研究では、ロボットには難しいとされるドア開けの一連の作業も、ドアに近づき、ノブを回し、ドアを開け、通り抜けるという各動作を別々に学習するDLで可能になった。
DLツールはフリーで公開されていて、多くのスタートアップ企業が開発に取り組んでいることに言及した尾形氏は「DLを応用する事例は、これから増えると思う。ロボットを使っている企業には、こうした技術があることを知っていただきたい」と活用を呼びかけた。
スペシャルセッション
AIビジネス最前線!組織・働き方に
どのような影響を与えているか?
代表取締役
ワークスタイルクリエイター
藤野 貴教氏
『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』の著者である、働きごこち研究所の藤野貴教氏は、企業でAI・テクノロジーの活用が進みにくい理由の一つに、技術に詳しい人と、そうでない人の対立構造を挙げた。テクノロジーに詳しくない人に「コンピュータビジョン、DLアルゴリズムなどの専門用語を並べて説明しても引かれてしまう」として、「身体感覚」でテクノロジーを理解してもらい、組織全体のテクノロジーリテラシーを向上させれば、「日々の仕事にテクノロジーをどう生かせるか、を自分ゴトとして考えられるようになる」と述べた。もう一つの問題として「変わりたくない」という感情から来るテクノロジーへの抵抗感に言及。有名なAIキャラクターを知っていても、実際にチャットをした人は少ないとして、テクノロジーで遊んでみることを推奨した。また、テクノロジー活用を推進する過程では、社内の多くの人を巻き込む力が必要になり、それは結果的にリーダー育成につながると指摘。また、自分の仕事をAIに置き換えられる人に対して「存在価値の喪失感、不安を和らげる取り組みは、人にしかできない仕事」と述べた。自身も「田舎の方が幸せに暮らせる」という直感に従って、東京から離れることを決断した藤野氏は、多くの企業は、論理・根拠に過度に依存してしまっている結果、「前例のない新しいチャレンジの意思決定ができない状況に陥っているのではないか」という問題を提起。テクノロジーと共に、人も進化しなければならず、それは直感と論理の双方を尊重する方向にあるという考えを示し、「直感と論理の関係は、唯一の正解があるバランスではなく、人によって異なる感覚に従った『塩梅(あんばい)』だと思う。その塩梅を感じ取ることが人の強みになります」と訴えた。
パネルディスカッション
AI活用の成功のカギとは?
AIを現場に導入するために準備するもの、ことは何か?

取締役
戦略ビジネス特区長
小師 隆氏
編集主幹
田口 潤氏
尾形、藤野両氏とNTTテクノクロスの小師隆取締役の3人がAIの活用について話し合った。
尾形氏は、DLについて「ネットと同じで、初めはなくても済むように思える技術だが、大きな価値を生む可能性がある」と取り組みを促した。これまでの技術に比べてかなり特殊なDLの研究教育の体制は、大学でもまだ整っていないが、公開されたツールは直感的に使え「学生が自学自習で取り組んでいる」と現状を説明。「これからいろいろなものが出てくるでしょう」と語った。
藤野氏は、無人店舗で収集される「商品を手に取ったが戻した」行動データにより、小売りがメーカーに価格変更などを提案できる可能性を示し「想像を広げるリテラシーが必要」と述べた。あわせて、RPA導入で生産性が飛躍的に向上するという考えも「リテラシー不足による過剰期待」として、費用対効果にとらわれず、将来を見据えた取り組みを訴えた。
小師取締役は、コンタクトセンターのオペレーターをAIでリアルタイムに支援したり、バックオフィスの入力やチェック業務を支援するソリューションを紹介。AIの今後について「さまざまなものにAIが組み込まれ、別々の製品に入ったAI同士の連携も生まれるでしょう」と、発展の方向を予想。また、展示に参考出品が多いのは、AIにデータを入れないと価値が実証できないためとして「データを持つ企業のお客様とパートナーを組み、役に立つAIに到達したい」と呼びかけた。
モデレーターのインプレス、田口潤氏は「時代が動き始めている。今こそアクションが必要」とまとめた。
最先端テクノロジーで
「変わるビジネス」の近未来を実感
AIで変わるみらい

AIを活用した、コンタクトセンター、バックオフィス業務の自動化・効率化ソリューションなどが展示された。コンタクトセンター向けソリューションは、顧客との会話から必要な情報をAIが自動入力する製品「CTBASE/AgentPro SMART」や、応対音声データをテキスト化し感情まで分析することで顧客満足度向上につなげる製品「ForeSight Voice Mining」を展示。AIバックオフィスシリーズでは、稟議・申請・決裁や契約書をAIで自動チェックして事務・法務業務を支援するソリューションを紹介。その他AIを活用したセキュリティ対策も。また、IoTを活用し、建物管理に役立つビル内の人の流れや、家畜・農作物の状態などを可視化するソリューションも紹介された。
CXで変わるおもてなし

このコーナーでは、ユーザーへの理解を深めるCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験価値)や、2020年に備えたおもてなし向上の技術を展示。施設案内・観光案内を自然な対話でできるマルチリンガル案内ロボット「AMARYLLIS」、会話や会議の中から、聞きたい人の声だけを抽出する技術などを紹介。8K超の高精細360度映像を再生する「パノラマ超プレイヤ」の体験もあった。
DXで変わる企業活動

ここでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に、企業活動を高度化させるテクノロジーや、働き方改革のソリューションを提案した。スマートファクトリー化に向けて、手軽に取り付け可能な振動センサーを使った故障予兆の検知システム、個人情報から匿名加工情報を作成し、データ活用を支援するソフトウェア、AIを活用したソフトウェア資産管理「iTAssetEye」を紹介。働き方改革支援では、リモートアクセスやWeb会議のほかに業務効率化を支援するタスク管理「FlatTask」などのスマートワークのツールを展示。また、導電性ウェアを利用した筋電位情報のスポーツ活用や、VR(仮想現実)映像を使って、より効果的な安全意識向上を図る危険体感サービスなどの最先端テクノロジーの体験コーナーも設けられた。
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