攻めの経営を支える情報活用の最前線 Microsoft Dynamics フォーラム2013
グローバル標準のシステムに最適
後半のセッションは導入企業が事例を報告。ERPトラックでは、グローバルに展開する企業から、管理の複雑さや膨らむコスト、煩雑な操作性など、ERPに関する課題解決に取り組んだプロジェクトが紹介された。
まずJFEスチールIT改革推進部海外プロジェクトリーダーの西村誠司氏が海外グループ会社向け標準システムに「Dynamics AX」を採用した経緯を説明した。JFEスチールの海外戦略、グループ各社の位置付けや規模、さらに海外におけるサポートを考慮したうえで、本社で使用している既存システムを拡張するのではなく、ERPパッケージで標準システムを構築することとした。ERPパッケージとしては、他システムとの連携などのカスタマイズの柔軟性、コストメリットから「Dynamics AX」を選定した。また、導入パートナーであるJFEシステムズ製品の原価管理システム「J-CCOREs」と同社が扱う「Dynamics AX」認定製品の計画系ソリューション「Demand Solutions DSX」を活用することで、パッケージではカバーしきれない細かな要求の実現にも成功したと語った。JFEシステムズでは、この導入で得た知見を元にテンプレートを開発しており、素材製造業を中心に展開していく予定だ。
大日本印刷グループのICT専門会社であるDNP情報システムの執行役員 宮本和幸氏(導入パートナー、NTTコミュニケーションズ)は、加速するグローバルビジネス展開に追随可能なICT環境の実現を目指し、従来、各国個別に行っていたシステム構築から脱却、クラウドサービスによる海外拠点共通ICT基盤を構築した経験を報告した。基幹業務システムに採用した「Dynamics AX」について「複数の会社の共同利用が可能で、あらゆる国・地域に対応できる機能を備えているという要件に最も適応した製品」と評価。また、「グローバルで標準化した業務フローを構築、テンプレート化することで、各国への展開速度の飛躍的向上、コンプライアンスレベルの平準化を実現することができた」と話した。さらに、あらゆる国・地域に柔軟に対応するため、「Dynamics AX」を全世界10カ国/地域 12拠点に展開(2014年時点)するNTTコミュニケーションズのクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」上に構築。ICT資産を持たずにセキュアかつシームレスに利用ができ、スモールスタートが可能な基盤を整備。「グローバルで機動的な事業展開ができる」と訴えた。