日本のエネルギーを支えるインフラファンド 高い分配金利回りとESG投資機会の提供
これまでに太陽光発電施設に投資する五つのファンドが上場。地球温暖化対策としても関心が高い再生可能エネルギー(再エネ)の拡大に、個人の投資資金を生かす仕組みとして機能している。
インフラファンドは、集めた資金を太陽光発電施設などのインフラ資産に投資し、保有した施設を専門の運営事業者に貸し出し、賃貸料を受け取って投資者に分配する。投資対象のインフラを不動産に置き換えれば、J-REIT(不動産投資信託)とほぼ同じ仕組みだ。東証に上場しているインフラファンドは5銘柄で、いずれも太陽光発電施設を投資対象としている。その人気の秘密は、国のエネルギー政策に裏付けられた安定的な収益性と将来性、そして、近年の持続可能な成長からのリターン享受を目指すESG(環境・社会・ガバナンス)投資のトレンドに個人が投資できる機会を提供する商品の魅力にある。
政策の後押しを受ける上場インフラファンド
投資の前提はリターンを得ることにある。その点、インフラファンドの分配金利回りは、5銘柄平均で年7%弱と、J-REITの平均約4%を上回る(いずれも2018年10月末時点)。インフラファンドの比較的安定した高い分配金利回りは、国の二つの制度に支えられている。一つが、再エネ普及を目指して12年から導入されている「再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度」だ。たとえば、10キロワット以上2000キロワット未満の事業用太陽光発電だと、18年度の買い取り価格1キロワット時当たり18円。この固定価格での買い取りが、原則として売電開始から20年の買い取り期間中、ずっと続くので、発電事業者は安定した収益を確保できる。もう一つがインフラファンドへのペイスルー課税の適用だ。インフラファンドには、支払い分配金の損金算入を認めて実質的に法人税を課税しない取扱いが再エネ施設の最初の貸出日から20年間、適用される。