「Jira」が世界の先進企業に使われる理由 もはやチームにスーパースターは必要ない

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古い物流倉庫をリノベーションした開放感溢れるオフィスは、アトラシアンの企業文化を反映

一般的に、勢いのあるベンチャー企業も、規模が大きくなるにつれて組織が硬直化していくものだ。しかしアトラシアンはスピードと柔軟性を失うことなく、むしろ進化を続けている。原動力となっているのは、同社が掲げる「Play, as a team(チームとして動く)」「Open company, no bullshit(オープンカンパニー、デタラメは無し)」「Be the change you seek(自分自身が変化の原動力になる)」といったコアバリュー(基本理念)と、それらを体現するさまざまな仕組みだ。

コアバリューの一つ「チームとして動く」は、まさにチームの生産性を高めるために欠かせないコンセプト。ただ、どれほど美しいバリューも、それを掲げるだけでは絵に描いた餅で終わる。バリューを組織に文化として定着させるには、具体的な仕掛けが必要だ。

その一つとして機能しているのが、「Kudos(賞賛)」だ。アトラシアンでは、国を越えた組織横断的なチームを組んで課題解決にあたることも多い。ただ、遠く離れた同僚に感謝の気持ちを伝えるのは容易ではない。そこで社員が利用するのが「Kudos」だ。

「『Kudos』は同僚に感謝を贈る仕組み。たとえば、日本の仕事を手伝ってくれたサンフランシスコの同僚に感謝のプレゼントを贈りたければ、社内イントラネットにある『Kudos』のリクエスト画面から入力することで、コーヒーチケットやワインなどの贈り物を現地に届けることができます。費用は会社持ちで、渡す回数の制限はありません。献身的に動く人は、机の上にワインが何十本も並んでいます」

オープンな職場で、「働きがいのある会社」1位に

「オープンカンパニー、デタラメは無し」「自分自身が変化の原動力になる」といったコアバリューも、組織力の強化に大きく貢献している。

象徴的なのは、リモートワーク環境だ。アトラシアンは2017年、タスク管理ツール「Trello」を開発するTrelloを買収した。Trelloでは7割の社員がリモートワークしているが、オフィス内にいる社員も、リモートワーク社員に合わせて、一人ひとりオンラインでコミュニケーションを取っている。

「オフラインのコミュニケーションは根回しが発生しがち。全員が個別でオンラインになれば、やりとりもすべてオープンでフェアになる」(ハリントン氏)

特筆すべきは、Trelloのやり方をアトラシアンが学ぼうとしていることだろう。

「企業規模は、買収したアトラシアンのほうが大きい。でも、チーム力を高める優れたやり方があるなら、素直に学んで取り入れるべきです」(ハリントン氏)

この例からもわかるように、アトラシアンはオープンな組織を目指して、いまも進化を続けている。そのほかにも、24時間以内に新しいアイデアを形にする「ShipIt」や、採用を決める際にスキルや経歴だけでなく、一緒にビールを飲みたい相手かどうかを判断基準にするビールテストなど、ユニークな仕組みが多い。こうした取り組みの結果、お互いに助け合う文化が醸成されて、チームの力が最大限に引き出されている。

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