採用力は経営の意思決定で決まる 求職者の変化にどう対応するのか?
「私たちが重視しているのは、経営者や社員の顔を見せながら企業の思いを伝えること、そして、職種別に採用ページを設け、人材要件をきちんと定義することにあります。そのため、あるチームがどんなメンバーで会議をし、どうやって仕事を進めているのか。社員の個別インタビューだけでなく、プロジェクトチームのインタビューについても掲載していますし、オフィス環境や社内イベントなど自社のカルチャーについても詳しく紹介しています。また、『サイブラリー』と称して、会社説明会をすべてオンラインで動画視聴できるようにしています。さまざまな部署や職種の社員たちが、自分の言葉で自分の業務を説明しており、企業の魅力を伝えるという点では、非常に有効な手法であると考えています」
採用次第で会社を変えることができる
こうしたサイバーエージェントの取り組みに対し、高橋氏もこう評価する。
「自分たちの強みをきちんと理解して、求職者のニーズを細かいところまで把握し、一つひとつ細かいマッチングを行う。それが結果として、エンゲージメントの高い採用につながっていると考えています。企業としてビジョンが明確であれば、全体としてブレがなく、社員一人ひとりが強いメディアとなりうるのです」
このような採用ページをつくるためには、「求職者が欲しいと思っている情報が取れること」が重要だと曽山氏は強調する。
「先日、インターンを希望する学生を面接したとき、その学生は、私どもの社員がSNSでシェアした採用ページをきっかけに会社に興味を持ったと言いました。そのとき、私はその社員にとても感謝しました。もしその社員がシェアをしなければ、その学生は面接に来なかったでしょう。社員がシェアしたくなるような採用ページであったことも良かったと思いました。大事なことは採用情報の一連の流れをいかにつなげるか。これからはSNSをいかに戦略的に使うかが採用の成否を分けるようになると考えています」
今後、採用を強化していくには、会社を良くしたいという姿勢を経営層が積極的に見せることが必要だと曽山氏は言う。では、そのために経営者はどう変わらなければならないのか。
「今こそ、経営者は採用に全力を注ぐべきだと考えています。結局のところ、採用力の差は、経営の意思決定の差であり、採用次第で会社を変えることができるのです。私たちも10月から役員直轄の採用戦略本部を設置しました。こうした長期的な視点で採用に取り組むことが、将来の企業の競争優位を高めることにもつながっていくと考えています」
こうした取り組みを進めていくためにも、まずはオウンドメディアリクルーティングに取り組んでほしいと高橋氏は語る。
「たとえば、会社のどこが好きなのかを社員にアンケートしてみると、その結果が、経営層が考えるものとは別のものだったということがありました。その社員の声を基に採用ページを作成すると、非常に大きな成果が生まれたそうです。こうしたケースでもわかるように、まずは会社の魅力を一生懸命探してみることが大事なのです。そして、会社の価値を言語化し、求職者にアピールする。そうした試みが今、採用において重要となっているのです」
人を採用するということは、まず自社を理解すること、そして自ら発信すること。日本の経営者の意識がそのように変わるべき日はもう到来している。
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