採用力は経営の意思決定で決まる 求職者の変化にどう対応するのか?
「実は私の知り合いも何人か入っており、曽山さんがおっしゃるように、情報交換できることが何より役立っているという話も聞いています。求職者の職探しにおける行動は急速に変化しており、企業が今後、採用活動を改善していかなければ、若くて優秀な人材を確保することは一層難しくなっていくでしょう。そんなとき、企業の垣根を越えて人事部門間のナレッジを共有できれば、経営層が採用にコミットできるような流れを加速することができる。そうした動きは非常に重要なことだと考えています」
では、HLCの取り組みを通じて、曽山氏は求職者の変化についてどのようにとらえているのだろうか。
「私は今採用において、3e(トリプルe)というトレンドがあると考えています。三つのeとは、exposure(さらけ出し)、esteem(承認欲求)、emotion(感情報酬)です。つまり、会社の内情を細かく調べ、入社後自分が認められるのかどうか、または、仕事でワクワクできるのかどうかを重視するようになったのです。これまでの求職者は金銭報酬や知名度を重視する傾向にあったのですが、その条件レベルが今相当上がっているのです」
しかし、そうした求職者の変化に対応できている企業はまだ少ないと曽山氏は語る。
「HLCで最も多く議題に上がるのが採用の話です。いかに求職者の変化に対応すればいいのか、悩んでいる方も多いように思います。企業にとって大事なことは、とにかく自社で情報発信をすることなのですが、特に今はこの情報発信の厚みが求められています。端的にいえば、企業の詳細な情報をわかりやすくビジュアライズして、受け手が映像でイメージできるような伝え方が必要となっているのです。最近、動画や画像を使った採用ページが増えているのも、そのためなのです」
企業は発信すべき情報は二つ
こうした動きは今、Indeed Japanが提唱している「オウンドメディアリクルーティング」と重なってくるように見える。高橋氏が言う。
「オウンドメディアリクルーティングとは、簡単に言えば、自分たちの採用ページを使って自社が主体的に情報発信していこうというものです。自社媒体で能動的に情報を発信し、自社で採用の主導権を握ることが重要なのです。そこで発信すべき情報は二つ。一つはジョブディスクリプションです。これは求職者が仕事を見つけやすくするための、いわゆる職務記述書のことで、これを最適化することで、昨今、仕事の検索力が向上している人材から“見つけられやすい”情報提供が可能となります。そしてもう一つがシェアードバリューコンテンツです。こちらは企業理念や企業文化を伝えるコンテンツのことであり、効果的なものにするには、曽山さんの言うビジュアライズが重要になってきます。自社の魅力を求職者がイメージしやすいように工夫することで、多くの高付加価値人材を集めることができるのです」
このオウンドメディアリクルーティングについては、サイバーエージェントがいち早く力を注いできたと言われているが、その特徴とは何か。曽山氏が語る。