
冬本番を迎え、風邪やインフルエンザが猛威を振るう季節がやってきた。そうしたウイルスや感染症を予防していくために、有益な方法とはどんなものだろうか。健康な体づくりのエキスパートの予防法を、日比野佐和子医師に聞いた。
生活習慣の改善で免疫力アップ
「風邪やインフルエンザの予防には、まず手洗い、うがいを徹底することが重要ですが、次にできることは免疫力を上げることです。それには生活習慣の改善が何より重要です」
こう話すのは、最先端医療を駆使したアンチエイジング治療などで信頼の厚い「Y’sサイエンスクリニック広尾」の日比野佐和子医師。時には徹夜することもあるというほど多忙な中でも、自身の健康管理は徹底している。
「忙しさによって規則正しい生活を送れないというのは、きっとビジネスパーソンの皆さんも同じですよね。ただ、忙しさを言い訳にせず、生活習慣を見直してできることを毎日繰り返すと、体調も良くなり、免疫力もアップし、風邪をひきにくくなります」
実は、日比野医師も忙しさに流されて、スキマ時間にコンビニ弁当をかき込むような不規則な生活を送る20~30代の時期があった。40代に入り、危機感を感じて生活習慣を見直したところ、免疫力がアップして体調が改善し、さらに、特別なダイエットもせずに1年で15㌔もやせたという。
日比野医師が行ったのは、まず食事、睡眠、運動のバランスを整えること。食事は自炊に切り替え、昼はおにぎりを持参。朝は、果物や野菜を中心とした良質な食事を取るようにしている。
ただし、食事の回数は1日5回。朝昼夕に加えて、午前と午後に間食を取ることで、緩やかな血糖値をキープしている。
Y’sサイエンスクリニック
広尾統括院長
日比野佐和子
医学博士、大阪大学医学部大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座特任准教授、ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長。美のカリスマとして各メディアで活躍しながら、再生医療やアンチエイジング療法の研究も行う
「空腹のまま食事をすると血糖値が一気に上がって、インスリンが大量に分泌され、体の細胞が糖分を脂肪として蓄積しやすくなってしまいます。ですから、私は間食として抗酸化作用のあるナッツや乳酸菌の入ったヨーグルトを食べて、血糖値を急激に上げないようにしています」
さらには、食事の際には肉を最初に食べる“ミートファースト”を実践している。肉に多く含まれている動物性たんぱく質は、筋肉や臓器、肌、髪、ホルモン、免疫物質などをつくり出す重要な栄養素。
「お肉を最初に食べることで、食後の血糖値も安定し、脂肪細胞に蓄えられた脂肪が代謝されやすくなります。また、たんぱく質をきちんと摂取することで病気への免疫力も上がり、心身ともに健康を保ってくれます。ですが、食べすぎは禁物。腸は12時間くらい休ませることで、次の日しっかりリセットされ元気な状態を保てるので、夜は消化しづらい重たい食事は避けています」
多様な乳酸菌、信頼できる選び方は?
さらに日比野医師が食事をとおして意識しているのが、腸内環境を整えることだ。腸内にはさまざまな細菌がおり花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるが、ストレスや暴飲暴食、体調不良などが原因で腸内フローラのバランスが崩れてくると、便秘や下痢、肌荒れなどを引き起こし、免疫力が下がってきて風邪やインフルエンザにもかかりやすくなってしまう。
腸内フローラを整えるには乳酸菌が良さそうなことは多くの読者も知るところだろう。だが、乳酸菌と一口に言っても実は多くの種類があり、その効果はそれぞれ異なる。
日比野医師がここ数年注目しているのは、「プラズマ乳酸菌(L.lactis strain Plasma)」だ。
「一般的な乳酸菌は、NK細胞など一部の免疫細胞にしか働きかけることができませんが、プラズマ乳酸菌はプラズマサイトイド樹状細胞を活性化させることで複数の免疫細胞に働きかけてくれます。実際、風邪にもかかりにくくなったと感じています」

ポイントは、プラズマサイトイド樹状細胞が「免疫の司令塔」であり、プラズマ乳酸菌がここを活性化させることにある。そうすることで、NK細胞、キラーT細胞などの各免疫細胞が活発に働くのだ。
「私は医師として、信頼できるものしか患者さんには勧めないことにしています。そのために確認するのは、臨床試験や実験結果などのエビデンスがしっかりしているかどうか。そのうえで良さそうだと思うものを自分で試し、さらに自分で効果が感じられてから、勧めることにしています」

日比野医師が話すエビデンスとは、岩手県雫石町の小中学生を対象に行われた調査のことを指す。この調査では、プラズマ乳酸菌含有ヨーグルトを週3日配布し、近隣の町と3カ月比較したところ、インフルエンザ罹患率は小学生、中学生合計で有意に低下したことが確認された。
別の臨床試験では、プラズマ乳酸菌を摂取したグループは、咳や熱っぽさなどの風邪、インフルエンザ様症状が有意に軽減されたという。
さらにこのプラズマ乳酸菌は、菌として生きていなくてもプラズマサイトイド樹状細胞を活性化できることが確認されているため、ヨーグルトや飲料以外にもタブレットなどサプリメントとして摂取できる。
「私は、忙しい合間でもパッと飲めるサプリメントを愛用しています。持ち歩くことができるのはありがたいですが、実は、サプリを飲むのは夜がオススメ。腸がゆっくりと休んでいる間に良質な栄養素を吸収できます」
生活習慣を改善することで、免疫力を上げて、風邪やインフルエンザを寄せつけない冬を過ごしたい。それは、日々の積み重ねが求められるビジネスパーソンの戦闘力の底上げにもつながるだろう。