これからの日本経済活性化のカギは
商社のビジネスモデルにある
独立行政法人 経済産業研究所
たとえば、同じようなモノ、サービスを提供しているのに欧米企業の方が収益力が高いのはなぜか。情報をどうとらえて、ビジネスに発揮させうるか、という部分が、多くの日本企業に欠けてきているのではないか。
その点、グローバルな視野に長けている商社は、情報力があり、その情報を、新たなビジネスを生み出すためのさまざまな知恵、アイデアの源泉にしている。そして、人材の力を最大限に引き出すため、人をきちんと育てて、自由闊達な雰囲気の中で活用するという風土も、他の日本企業が範とすべき商社の長所と言えるだろう。
商社も過去には数々の苦境を経験し、苦労して事業形態を変えながら、現在のかたちに進化してきた。その過程は日本の企業は「もっと挑まなければならない、そして企業は変われる」という2つのメッセージを示している。
日本企業の先頭を切って世界に出ている総合商社が、成長モデルとしての役割を担い、他の産業が続いて欲しい。くわえて、総合商社の主要機能でもある貿易取引が、アベノミクスの成長戦略が狙う中小企業の海外進出加速を支援することも期待できる。総合商社が日本経済の活性化に果たす役割は大きい。