これからの日本経済活性化のカギは
商社のビジネスモデルにある 独立行政法人 経済産業研究所

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独立行政法人 経済産業研究所理事長 中島厚志

日本経済が低迷を続けた「失われた20年」。2000年以後の経済成長率の推移を世界と比較すると、明らかに日本は伸び悩んでいる。世界の貿易額の推移を見ても、日本の額の推移は、世界の伸びと比べても鈍い。

特に、国内市場が成熟した日本は、経済のグローバル化、世界経済の取り込みに活路を見いだすしかない。ところが、日本は貿易立国と言いながら、輸出入額の対GDP比は意外なほど小さい。輸出額の対GDP比は15%にとどまり、ドイツの60%、中国の30%に大きく水を開けられている。企業の利益率も概して欧米企業よりも低い。だが、逆に言えば、それだけ貿易には伸びる余地があり、日本の眼前には広大なフロンティアが広がっている、とも言える。

フロンティアの開拓は経済や企業の成長の基本だ。経済・企業の成長の歴史は、そもそも、新たな付加価値を得るフロンティア開拓の歴史だった。15~17世紀の大航海時代は領土拡張という形で、そして最近では、IT技術の発達によってバーチャル世界というフロンティアを進み、人の活用、ビジネスの可能性を広げてきた。

もっとも、フロンティア開拓にはヒト、モノ、カネを最大限活用するしかない。そして、人材の力を中心に、モノ、カネを駆使して、高い利益を挙げている現在の総合商社のビジネスは、多くの日本企業が見習うべきモデルとしての要素が詰まっている。

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