日本は圧倒的に「運動不足」大国だ 24時間ジムが離島にマシンを寄贈する理由

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「たとえばサーファーの方がビーチクリーンをしたり、山に登る方が山でゴミを拾ったりしているのに対し、フィットネスクラブに行く人にも何か社会貢献できるものがないかと考えました。このシステムであれば、流した汗をいわば“社会とつながるためのチケット”に変えられます」(面木氏)

「ジムの無料化」で青少年の健全な育成を

また、すでに始まっている斬新な取り組みもある。「高校生の無料利用」だ。これは親権者がエニタイムメンバーであることと、スタッフが店舗にいる時間帯という条件で、高校生のジム利用を無料としたもので、2018年4月から導入している。すでに全国で3000名以上の高校生が利用しているという。

Fast Fitness Japan
営業本部 クリエイティブディレクター 面木 つよし 氏

「日本では10代の自殺者が増えていることや、ひきこもりによる不登校の問題があります。たとえ学校に行けなくても、ジムで自分の体や心と向き合う時間を持ってもらうことで、少なからずプラスになる部分があるのではないかなと。それと近代的なトレーニングをしたいけど学校に設備がないという声に応える目的もあります。もちろん、高校生のうちからフィットネスに接してもらうことで、彼らが社会人になった時にまたうちに帰ってきてくれればうれしいですね」(面木氏)

こうした従来のフィットネスジムの常識を覆す施策を次々と打ち出すエニタイムフィットネスだが、実はその根底には大きな目標がある。それは日本のフィットネス参加率を、現状の3%から10%に引き上げることだ※1。(※1 出典:Fitness Business)

フィットネスクラブへの入会率(人口におけるフィットネスクラブ会員数の割合)は、アメリカの18%を筆頭にカナダ、スペイン、イギリス、ドイツが10%を超えるのに対し※2、日本は3%台と先進国の中でもかなり低い。エニタイムフィットネスでは、その数字を将来10%にすることを成長目標の一つとしている。(※2 出典:国際ヘルス・ラケット・スポーツ協会)

「入会率10%という数字を達成するには、社会から本当に必要とされる、日常的で開かれた空間であることが不可欠だと思います。要は社会にどれだけ“フィット”できるかです。そのために今後第3の矢、第4の矢、第5の矢も放っていく予定ですが、何よりも大事なのはやっぱり24時間365日、安全・安心・快適にトレーニングできるというわれわれの本質的な価値だと思うので、そこもさらに追求していきます。私たちには派手で劇的なことはできませんが、少しずつでも確実に明日をよくすることをやっていけたらいいなと思っています」(面木氏)

アメリカ発らしい合理性を身にまとい、先進的・先鋭的な施策を次々と打ち出しつつも、根っこの部分はとても人間味にあふれ、その目は社会へ向けられている。ニュータイプのフィットネスジムが日本のフィットネス界をさらなる進化に導いていく。