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日本は圧倒的に「運動不足」大国だ 24時間ジムが離島にマシンを寄贈する理由

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  • Fast Fitness Japan 制作:東洋経済企画広告制作チーム

ここ10年ほどで急増している24時間営業のフィットネスジム。その先駆けとなったのが、エニタイムフィットネスだ。当ジムは不必要なサービスを削ぎ落とすなどの徹底した合理化により「24時間営業・低価格」を実現。それを武器に2018年9月には国内400店舗を達成し、2019年春には500店舗到達を見込んでいる。そんなジムが、日本のフィットネスをさらに大きく進化させるユニークな施策を打ち出している。その狙いと背景にあるものを取材した。

離島にトレーニングマシンがやってくる

アメリカ発のエニタイムフィットネスが日本1号店をオープンしたのは、2010年のこと。当時は存在しなかった「24時間営業のフィットネスジム」というビジネスモデルは日本でも受け入れられ店舗数を大きく伸ばしていった。それに続くようにして他社もこの市場に参入し、今や国内の24時間フィットネスジムの数は、400店舗超のエニタイムフィットネスを筆頭に、総計1000店舗に迫る。

マシンは、沖縄県座間味村に2019年春に完成予定の施設に導入される予定だ

そんなエニタイムフィットネスが先日、興味深い取り組みを発表した。それが「Healthier Islands Project(ヘルシア・アイランド・プロジェクト)」だ。これは店舗リニューアル時の入れ替えで発生する中古トレーニングマシンを、日本全国の離島に寄贈するという事業で、第一弾として2019年春に沖縄県の座間味島に完成予定のビジターセンターに贈られることが決まっているという。マシンをなぜ無償で寄付するのか。エニタイムフィットネスを運営するFast Fitness Japanでクリエイティブディレクターを務める面木つよし氏に話を聞いた。

運動で、自然環境や社会に寄与していく

「座間味村では、観光が大きな産業であるものの、オフシーズンになかなか人が来ないという課題を抱えられていました。そこで島にトレーニングマシンが揃えば、スポーツチームなどの合宿を誘致でき、島を活性化できるのではと考えたんです。加えて島民の方々も健康増進や生活向上を図ることができ、ひいてはそれが豊かな自然を守ることにつながると考えています。当社としても、マシンは平均5年で入れ替えており、入れ替えマシンは廃棄せざるを得なかったので、お役に立てるのであればぜひということで話が進みました」

合宿の誘致に関しては、既に2020年の冬にセーリングの日本・フランス・スペインのナショナルチームが合同強化合宿を行うことが決まっている。

そしてエニタイムフィットネスではさらにもう一つ、運動を社会に還元する「FLOW health TEC(フローヘルステック)」プロジェクトが進んでいる。これは当ジム内の対応マシンで運動すると、運動量に応じてスマホの専用アプリにポイントが蓄積され、貯まったポイントは特典との交換やイベントへの参加、さらには被災地や地域スポーツ活動への寄付などに使えるというものだ。そこにはどんな狙いがあるのか。

「たとえばサーファーの方がビーチクリーンをしたり、山に登る方が山でゴミを拾ったりしているのに対し、フィットネスクラブに行く人にも何か社会貢献できるものがないかと考えました。このシステムであれば、流した汗をいわば“社会とつながるためのチケット”に変えられます」(面木氏)

「ジムの無料化」で青少年の健全な育成を

また、すでに始まっている斬新な取り組みもある。「高校生の無料利用」だ。これは親権者がエニタイムメンバーであることと、スタッフが店舗にいる時間帯という条件で、高校生のジム利用を無料としたもので、2018年4月から導入している。すでに全国で3000名以上の高校生が利用しているという。

Fast Fitness Japan
営業本部 クリエイティブディレクター 面木 つよし 氏

「日本では10代の自殺者が増えていることや、ひきこもりによる不登校の問題があります。たとえ学校に行けなくても、ジムで自分の体や心と向き合う時間を持ってもらうことで、少なからずプラスになる部分があるのではないかなと。それと近代的なトレーニングをしたいけど学校に設備がないという声に応える目的もあります。もちろん、高校生のうちからフィットネスに接してもらうことで、彼らが社会人になった時にまたうちに帰ってきてくれればうれしいですね」(面木氏)

こうした従来のフィットネスジムの常識を覆す施策を次々と打ち出すエニタイムフィットネスだが、実はその根底には大きな目標がある。それは日本のフィットネス参加率を、現状の3%から10%に引き上げることだ※1。(※1 出典:Fitness Business)

フィットネスクラブへの入会率(人口におけるフィットネスクラブ会員数の割合)は、アメリカの18%を筆頭にカナダ、スペイン、イギリス、ドイツが10%を超えるのに対し※2、日本は3%台と先進国の中でもかなり低い。エニタイムフィットネスでは、その数字を将来10%にすることを成長目標の一つとしている。(※2 出典:国際ヘルス・ラケット・スポーツ協会)

「入会率10%という数字を達成するには、社会から本当に必要とされる、日常的で開かれた空間であることが不可欠だと思います。要は社会にどれだけ“フィット”できるかです。そのために今後第3の矢、第4の矢、第5の矢も放っていく予定ですが、何よりも大事なのはやっぱり24時間365日、安全・安心・快適にトレーニングできるというわれわれの本質的な価値だと思うので、そこもさらに追求していきます。私たちには派手で劇的なことはできませんが、少しずつでも確実に明日をよくすることをやっていけたらいいなと思っています」(面木氏)

アメリカ発らしい合理性を身にまとい、先進的・先鋭的な施策を次々と打ち出しつつも、根っこの部分はとても人間味にあふれ、その目は社会へ向けられている。ニュータイプのフィットネスジムが日本のフィットネス界をさらなる進化に導いていく。