誇りと感動あふれる空間でビジネスを支援 首都圏に展開する「エキスパートオフィス」
また、自社ビル志向が強かった当時から、同社は顧客に企業に対して「ビルを持たない経営」も提案してきた。
「大手事務機器メーカーにヒアリングを重ね、グループの子会社などを一拠点に集約し、営業所、研修センター、共用の受付など、お客様の利便性と効率性を兼ね備えた設計のビルをつくりました。また、ビルの保守メンテナンス業務まで一貫して当社が対応しました」。今では当たり前だが、当時は画期的なコンセプトだ。顧客企業にとってはイニシャルコストやランニングコストを大幅に削減できるともに、経営環境の変化に伴う組織再編などにも柔軟に対応できるわけだ。
「当社の理念は、『不動産業はサービス業であれ』です。不動産総合デベロッパーとして、40年以上にわたり、オフィスビルからホテル、集合住宅まで、国内外の多様な分野の不動産開発事業を推進してきました。引き続き、お客様目線で、お客様にとって使い勝手のいい建物を提供していきます」と大西氏は力を込める。
都心の中小ビルを再生し
不動産マーケットを活性化させる
日総ビルディングは1989年、日本初となる高級ホテルマンション・レジデンタルオフィス「ザ・タワー飯倉」を手掛けているほか、91年にオープンした米国「ザ・リッツ・カールトン・サンフランシスコ」の建設・経営なども手掛けている。同社が提供するオフィスの、立地、機能はもとより、品質、デザイン、アメニティに至るまでのこだわりにはその知見も生かされている。
大西氏がさらに見据えるのは日本の不動産マーケットの行方だ。「都内では2020年までに多くの大型再開発オフィスビルが完成を迎えます。中小の老朽化ビルは存続の危機に直面していますが、これらをリノベーションすることによって、新たな価値を生み出すことも可能です」。
坪数は少なくても都心で立地がよいビルにはチャンスもあるという。「私たちが培ってきたノウハウで、外観やトイレ、空調、セキュリティ、共用部や執務スペースなどをリニューアルすることで、今のお客様のニーズに応えるビルに生まれ変わらせることができます。大型ビルにも負けない高いグレードのビルを供給することで、中小のビルの流動性を高め、市場を活性化させたいと考えています」と大西氏は話す。
時代が求めるスペースを提供し続ける同社の取り組みに、引き続き期待がかかる。