なぜ「質の高い人材」を獲得できないのか 採用に強いといわれる企業はここが違う

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さらに服部氏は、フリーワードで仕事を発想する人は、自分でキャリアのストーリーを作っていくことができると語る。

「企業として、どういうキャリアを提供できるのかというストーリーを見せていくことが重要です。ひとつひとつの“点”で仕事を見せていくのではなく、求職者にとって、その仕事が人生におけるキャリアにつながると認識し、自社の仕事を伝えていくべきなのです」

今企業に求められるオウンドメディアリクルーティング

神戸大学経営学研究科准教授
服部泰宏

今後、採用環境の変化に対応するために、企業はどうすればいいのだろうか。それには、まずトップのコミットメントを強めるべきだと服部氏は主張する。トップが採用を重視し、能動的に動く。そして自分たちの言葉で語る――。こうした採用を実現していくために今必要となっているのが「オウンドメディアリクルーティング」だ。

実際、採用に強いといわれる企業の多くが、オウンドメディアリクルーティングの手法を採っていると高橋氏は指摘する。

「求人媒体に任せきりにするのではなく、自社媒体で情報を発信し、自社で採用の主導権を握ることが重要なのです。私はそれを求人媒体の広告枠、制限ある文字数からの解放だと考えています。かつてオウンドメディアは集客力に限界がありました。しかし、今はテクノロジーの進化により、求人情報に特化した検索エンジンも誕生し、その課題がクリアされています。Indeedは、まさにそのパイオニア的な存在です。時代に即した新しい次元でのジョブサーチを実現し、多くの求職者から支持を得ています。オウンドメディアリクルーティングを実現できれば、求職者の意識や行動に適した施策をとることができ、人材の自社サイトからの応募ルートを強化することも可能なのです。そして資金力や知名度に依存することなく、人材採用においてあらゆる規模の企業が同じ土俵で勝負できるようになります。実際に採用力が高いとされている企業は、自社の採用サイトでの情報発信がしっかり行われており、オウンドメディアリクルーティングにおいて先進企業であると言えます」

服部氏はオウンドメディアリクルーティングによって、日本企業の採用力を取り戻すことがこれから大事になってくるという。

「今、アメリカでハッピーな職業として高い地位を得ているのが、採用担当の仕事です。その理由は、数年先の会社をつくっているという実感を持てる誉れ高い仕事だから。日本企業でも、そうした自負を持った担当者がぜひ増えてほしいですね」

高橋氏はこれからのオウンドメディアリクルーティングの重要性について、こう語る。

「企業の自社サイトは求職者が必ず見るものです。だからこそ、オウンドメディアとしてきちんとした求人情報コンテンツを掲載する必要があるのです。それが機能し始めれば、一人当たりの採用コストは必ず低減されます。私たちが提唱するオウンドメディアリクルーティングは必ず企業の採用力向上に寄与すると考えています」

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