強気相場の「ロスタイム」で負けない方法 J.P.モルガンが金融のプロに教えているコト

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国内の若手ストラテジストとして活躍するJ.P.モルガン・アセット・マネジメントの前川将吾氏
資産運用の王道は、長期・分散投資である。そのためには、短期的な相場の変動に一喜一憂するのではなく、金融市場や経済を論理的に分析することが大切だ。J.P.モルガン・アセット・マネジメントの前川将吾氏は、金融機関やIFA(独立系金融アドバイザー)など、いわゆる金融のプロ向けに、レポートやコメント、セミナーなどを通じて情報発信を行っている。国内の若手ストラテジストとして活躍する前川氏に、現在のマーケット環境、およびその中での投資戦略について解説してもらった。

相場で負けることを防ぐ、いつでも頼れる指針とは

「日本株はこれから上がるのか、下がるのか」。個人投資家にとって大いに関心があるところだろう。

しかし、その問いに対する答えは二分するようだ。直近の米中貿易戦争やトルコ・ショックなどのニュースを聞き、「もう世界のマーケットは終わり」と語る投資家もいれば、日本企業の想定ドル・円レート以上の円安傾向などを見て、「日本株はまだ上を狙える」と考える投資家もいる。

これらに対し前川氏は、「米中貿易戦争やトルコ・ショックの実体経済への影響は、実際には限定的です。また足元のドル高・円安はドル高一強の裏返しにすぎず、対ドルで円安が進んだから日本株がただちに上昇する、とは言えない状況です。むしろ日本株を考えるうえでは、円の名目実効レートを見た方が良いでしょう」と話す。

前川氏のこのような見方の基となっているのは、過去の金融市場や経済統計のデータだ。「投資で成功するためには、直近のニュースや足元の相場から短絡的な判断を下すのでなく、データに基づいて論理的に金融市場や経済を分析することが何よりも大切なのです」と話す。

前川氏がデータを重視して投資判断をする理由は何だろうか。

「短い期間で見ると、マーケットはランダムに上下に振れているように見えますが、長い期間を経ると必ず平均値に回帰します。歴史は繰り返すと言われるように、実体経済やマーケットにおいても上がったものは下がり、下がったものは上がるという動きを繰り返しているのです。たとえば、米国の失業率のデータを見ると、その動きが顕著に表れています」

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いずれの景気後退も、失業率が下がりきって1~2年以内に発生している

現在、米国の失業率は低下傾向にある。2009年に10%まで上昇した失業率は、現在3%台後半と、歴史的な低水準になっている。

「当然ながら、失業率が0%を割り込むことはありません。過去の歴史を振り返ると、最低水準まで失業率が下がれば、その後反転して失業率の上昇、景気後退がやってきています。その点で今は、これまで成長を続けてきた米国経済も終盤戦、すなわちロスタイムにさしかかっていると言えるでしょう」

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