酸っぱくないヨーグルトが大腸にいい理由 ビフィズス菌の大敵は「酸=酸っぱさ」

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その筆頭が、菌種だ。「ビヒダス」には「BB536」というビフィズス菌が使われているが、実はこの菌がかなり特別なのだ。森永乳業で「ビヒダス」の研究・開発に携わる井上肇氏はこう話す。

森永乳業 研究本部
食品開発研究所 発酵乳グループ
グループ長 井上 肇

「弊社では古くから乳児用粉ミルクの開発を行ってきましたが、その中で健康状態の良い乳児のお腹にはビフィズス菌が多く生息し、逆に健康状態が優れない乳児にはビフィズス菌が少ないことに注目しました。そこからビフィズス菌は乳児の健康に、ひいては大人も含めた人の健康にいい働きをしてくれると考え、ビフィズス菌の研究を進めていきました。その一環として1969年に健康な乳児から見つけられたのが、ビフィズス菌『BB536』です。実はこのBB536、ビフィズス菌の中ではかなり酸や酸素への耐性が高い菌だったのです」

まずはこの発見こそが、「ビヒダス」の製品化の大きな原動力となった。

ただし「耐性が高いほう」とはいえビフィズス菌であることには違いなく、酸や酸素に強いとは言えない。製品化のためには、さらなる工夫が必要だった。そこで採られたのが、徹底的な生産管理を行うという方法だ。

「ヨーグルトの酸性度が上がるほど、つまりは酸っぱくなるほど、ビフィズス菌は減ってしまいます。とはいえ酸性度が低すぎると乳酸菌がきちんと発酵せず、ヨーグルトとして成立しません。ですから乳酸菌はきちんと発酵するけど、ビフィズス菌は元気にいられるという絶妙なラインに収まるよう、高度な生産管理を行っています。それは発酵温度や発酵時間、発酵後の冷却方法、さらには輸送時や売り場での温度など、あらゆる部分の管理に及びます」(井上氏)

つまり、「ビヒダス」は細心の注意を払って酸っぱくならないように管理され、その結果、消費者の手元に届いた時でも、ヨーグルト内に多くのビフィズス菌を生かすことに成功しているのだ。

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