ふるさと納税は本当に地方を肥やすか?

「佐賀・いちご農園」に見る地域活性の今

応援したい自治体を選んで寄付できる「ふるさと納税」。2017年度の制度利用による控除適用者は、前年度比1.3倍の約296万人に達した(※1)。制度の浸透に伴い、具体的な経済効果も表れてきたという。ふるさと納税は、地域返礼品事業者にどんな成果と可能性をもたらしているのだろうか。

現在、430自治体以上のふるさと納税情報を掲載しているふるさと納税サイト「さとふる」。運営会社のさとふるは、一過性のにぎわいにとどまらない「真の地域活性化」を永続的に支援するべく取り組みを進めている。

同社はサイト運営だけでなく、返礼品の事業者の開拓から商品開発、返礼品の発送、寄付者からの問い合わせ対応など、自治体のふるさと納税にかかわるあらゆる業務を代行する。その結果、自治体職員は寄付金を地域に役立てるための施策検討など、より本質的な業務に注力できるのだ。同社は、寄付者に地域の事業者を知ってもらうだけでなく、そこのファンになって商品を購入したり、実際にその地域へ足を運ぶといった、寄付者と自治体のつながりの継続的な広がりを目指している。

同社が今年行ったアンケート(※2)では、寄付金の使途として『地域活性化』を希望する割合が22.7%と最も多く、制度の本質や意義が広く浸透してきていることがうかがえる。近年では地域の返礼品事業者にも、ふるさと納税による経済効果が結実しつつあるという。実例を二つ紹介しよう。

出荷量増加で設備投資と雇用拡大が実現

佐賀県を中心に栽培されているいちご「さがほのか」をつくる同県江北町のむらおか農園。ここで14年前からいちごづくりに取り組む唐島晶悟さんは、ふるさと納税に参加して生じた効果をこう語る。

「『さとふる』をきっかけにいちごづくりだけではなく、農園のこれからについても挑戦できるようになりました」と笑顔で語る唐島さん

「数ある返礼品の中から、当園のいちごを選んでいただいたうれしさは格別です。何よりも寄付者の方々の声が直接届くことが、やりがいにつながっていますね。当園ではなるべく化学農薬ではなく有機肥料を使うなど、徹底した環境づくりにこだわりを持っているのですが、『さとふる』を通して、そうしたこだわりやいちごの質の良さを全国に広めることができています。また返礼品の提供により出荷量が増えたため設備投資ができ、いちご栽培により多くの人手をかけられるようになりました。以前に増して『いちごが喜ぶ環境』をつくり出せたことをとても喜ばしく思っています」

事業が大きくなったことで、雇用を創出するまでに至っている。「地域の方を、期間パートとして当園で雇用するようになりました。地域の雇用創出に少しでも貢献できればうれしいですね」。

さがほのかは、鮮やかな色と香り・糖度の高さが特徴だ

人手が増えたことで、唐島さんが商談会に出かけることも可能に。ついに海外輸出にも挑戦しているのだという。今後の展望をこう語ってくれた。

「多くの人が地域に訪れてくださることを目標に、いちごの加工販売所を建設し、スタッフも通年雇用にできればと考えています。また研修生を受け入れ、生産だけでなく人材育成の部分でも貢献していきたい。これからも、安心・安全・美味しいをモットーに、いちごづくりに励みます」(唐島さん)

レビューが消費者のニーズを考えるきっかけに

ふるさと納税を契機に、売上を3年で3倍以上伸ばした会社もある。いくらや毛ガニなど海の幸を扱う、北海道八雲町のミノリ商事だ。店長の藤瀬敏孝さんはこう話す。

次ページいくらとたらこの”小分け”がミソ
お問い合わせ
関連ページ
ふるさと納税、今問われる「真価」とは?