《MRI環境講座》第3回 成長機会としての環境問題

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■環境と成長機会を結びつけるモノ

 では、環境問題が成長機会を生むメカニズムは、どのように説明できるのだろうか。

 様々な論点、捉え方が想定できるが、基本的な枠組みとしては、次のような捉え方−リスクと(新たな)社会ニーズという2軸による整理−が分かりやすいのではないかと筆者は考えている。

 ただ、金融市場における議論などが活発化していく中では、ここに示したような枠組みのみではなく、収益・コストとの関係性、また、評判・ブランドとの関係性などといったより具体的な点についての議論、分析も求められてこよう。先に示した経済産業省の研究会においてもそうした議論がなされることと思われる。

 既に、そうしたアプローチを試みている事例もみられるが、広く納得性、妥当性などを獲得し得るロジック、定量的な分析、実証などは今後の課題といえよう。実は三菱総研では、こうした観点で「新たな環境格付け」の構築を起点とした研究、検討を重ねているところである。こちらについては、別途の機会に紹介したい。

 さて、次回以降は、「洞爺湖サミット」に関する特集を挟みつつ、具体的な企業の成長機会の姿、様々な分野における新たな(あるいは古くて新しい)環境関連ビジネスの動向などを紹介していきたい。
《プロフィール》
株式会社三菱総合研究所
環境フロンティア事業推進グループ/環境・エネルギー研究本部
環境・エネルギー研究本部は、環境・エネルギーに係わる様々な専門分野を持つ約100名の研究員により構成。その前身の地球環境研究本部は、リオ・サミットの前年である1991年の創設以来、国などにおける環境関連政策、制度設計の支援、関与など中心とし幅広い実績を持つ。
また、企業における環境問題への取組の浸透、拡大等が進む中、先進的な環境関連の事業、ビジネスを支援する機能として、環境フロンティア事業推進グループが2007年10月に設立。電話番号は、03-3277-0848

吉田直樹 主席研究員
環境フロンティア事業推進グループリーダー(兼)環境・エネルギー研究本部
様々な企業における環境・CSR経営システム、事業戦略の構築、次世代“エコ”商品・サービス開発の支援などの業務を手がける一方、真に環境コンシャスな企業、環境問題を成長機会として捉え、活かしている企業の評価の手法、そしてこれらへのファイナンスの仕組みなどを開発中。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2008年7月2日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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