使用済みの紙を、オフィスで再生紙に 課題解決を価値創出につなげる先進事例

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ケーススタディ 1 住友理工
小牧で使った紙は小牧で活用する地産地消のサイクルを

自動車用や産業用ゴム製品の製造販売をコア事業とする住友理工は2017年6月、愛知県の小牧本社でペーパーラボを導入した。その経緯について、同社エレクトロニクス事業本部事業統括部長・化成品事業部事業企画室長の村松篤氏は次のように語る。

住友理工
エレクトロニクス事業本部
事業統括部長・
化成品事業部事業企画室長
村松 篤

「森林資源の保全という大きな社会的課題を解決するために、紙を再生する小さな循環サイクルをつくろうというチャレンジに共感したことが、導入の決め手になったとも言えるでしょう」

同社も、22年度を最終年度とする中期経営ビジョンにおいて、技術革新を通じて社会的課題の解決を図ることを目標の一つに掲げている。ペーパーラボの意義を理解するにはそう時間がかからなかったのだろう。一方で社内の課題解決に活用できるという狙いもあった。それまで社内で保管していた機密文書の処理だ。「文書をデジタル化し、不要になった紙は外部業者に委託して溶解処理をしていました。その紙をペーパーラボで再生すれば、機密文書を社内で処理することができセキュリティ上のメリットも得られます。現在はA4換算で1日に4000~5000枚処理して、3000枚程度の再生紙をつくっています」

ステープラーなどを取った書類はスキャン作業へと送られ、その後、ペーパーラボで再生紙となる

機密文書をスキャンしてデジタル化するためには、ステープラーの針やクリップを外すなどの前処理が必要になる。その処理をしておけば、スキャン後、そのままペーパーラボに投入可能だ。使用済みの紙を集めたり、ペーパーラボを稼働させたりすることも含め、一連の作業は、障害者雇用促進法に基づく同社の特例子会社である住理工ジョイフルが担っている。ペーパーラボの導入は、障害者の雇用という価値創出にもつながっているわけだ。

現在、ペーパーラボでつくった再生紙は、名刺やメモ帳として社内で活用するほか小牧市に寄贈している。

「小牧で使った紙は小牧で活用する地産地消が実現しています。地域の中で地産地消のサイクルができたことは価値があります」と、村松氏は意義を強調する。

小牧本社での成果を踏まえ、同社はこの7月、別の拠点でもペーパーラボを導入した。今後は、社内活用の幅を広げ、地域社会への貢献も進めるという。

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